「Sun Oracle Database Machine」を発表するオラクルのラリー・エリソンCEO
「Sun Oracle Database Machine」を発表するオラクルのラリー・エリソンCEO
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 米オラクルは9月15日(米国時間)、データベース用アプライアンスの「Sun Oracle Database Machine」を発表した。特徴は、フラッシュメモリーを大量に搭載することで、データ・ウエアハウスに加え、OLTP(オンライントランザクション処理)用途でも利用できる点だ。「競合他社のアプライアンスは、データ・ウエアハウス用途だけしかない。しかも、既存のサーバーにデータベースソフトをインストールするより、性能は高い。他社は決してまねができないはずだ」とラリー・エリソンCEO(最高経営責任者)は自信を見せた。

 同製品は、米オラクルが2008年9月に発表した、データ・ウエアハウス用アプライアンス「HP Oracle Database Machine」と同じアーキテクチャを採用。データベース・サーバーとストレージ・サーバー、ネットワーク装置が一つのきょう体に納まっている。このアーキテクチャに、米サンが開発した「Sun FlashFire Technology」を付加した。これはフラッシュメモリーを中心にすることで処理性能を高めた技術だ。

 具体的には、データベース・サーバーに米インテルのXeon(Nehalem)プロセッサを最大で8CPU、64コア、メモリーを最大で400Gバイト搭載する。ストレージ・サーバーは、最大5テラバイトのフラッシュメモリーと最大336テラバイトのディスクを持つ。データベース・サーバーとストレージ・サーバーの間は、40Gビット/秒のInfiniBandで接続する。米サン・マイクロシステムズでハードウエアの最高責任者を務めるジョン・ファウラー上級副社長(エグゼクティブ・バイスプレジデント)は、「一つのラックで処理できるデータベースとしては、これまでのどのサーバーより高性能なものができた」と話す。

 性能を高めるための機能はもう一つある。Sun Oracle Database Machine最新版のデータベースソフト「Oracle Database 11g Release2」で追加した、「In-Memory Parallel Query」機能だ。これは、分散されたメモリーに対する並列処理で、検索性能を高める技術である。「IBMより4倍早い。100万ものランダムI/Oをわずか1秒で処理できる」とエリソンCEOは話す。

 Sun Oracle Database Machineは、メモリーやディスク容量に応じて四つのモデルを提供する。価格は、11万ドルから115万ドル。出荷日は未定である。

 米オラクルが米サンの買収を発表したのは2009年4月のこと。米司法省は買収を承認し、現在は欧州連合(EU)の欧州委員会が、EUの独占禁止法に基づいた詳細な調査を実施している最中だ(参考記事1)。エリソンCEOは既に、「米サンのハード事業を売却しない」と明言(参考記事2)しており、正式承認に先行した統合製品の発表となった。