VHF-LOW帯マルチメディア放送推進協議会(VL-P)は2009年9月15日,加入する120者を対象に協議会の作業班の検討状況を報告する「全体連絡会」を開催した。この中で,運用規定策定作業班は,リアルタイム放送について基本的な方向性を説明した。

 VL-Pは,2011年7月予定の地上アナログ放送の終了によって空く周波数のうち,VHF帯ローバンド(第1~第3チャンネル)を利用して実用化が見込まれる携帯端末などに向けたマルチメディア放送のサービス・イメージを明確にし,放送の運用規定を策定する作業を進めている。全国のAM/FMラジオ事業者など120者が加入する。

 リアルタイム放送についての運用規定は,ワンセグをベースに一部拡張した形である。映像はワンセグと同じQVGAであるが,フレーム速度は30フレーム/秒と現行テレビ放送並みに高速化する。音声は,MPEGサラウンドがAACと後方互換性があるため,運用を可能とする。

 BMLに関しては,ワンセグろ同等し,拡張部分は今後検討する。ワンセグでは原則禁止されているいわゆる「混在表示」(放送コンテンツと通信コンテンツを,同時に一緒に表示すること)については,「利用者が放送と他のサービスとを混同しないように表示する」という範囲内で,ワンセグより緩和する。これによって,例えば映像を見ながらメールを打つといったことが可能になる。

 字幕や文字スーパーは運用を可能になる。「すべてのセグメントですべてのセグメントのEGP情報を送りあう」という全局EPGは行わない。ただし,特定のセグメントで全局EPGを送信できるような仕組みは考慮する。

 ESダウンロードは,告知のみとする。ただし,有益なサービスであることなどから,当面運用規定ではTBDとする。限定受信は,リアルタイムで有料放送の実施を希望する事業者から具体的な運用形態の提案のあと,運用規定を定める。ただし,受信機はオプションの扱いとする。

 緊急放送関連では,緊急警報放送による受信機の自動起動については運用可能とするが,受信機の扱いはオプションとする。緊急地震速報への対応は,ARIB(電波産業会)での検討を踏まえて運用可能にする。

 3セグメント放送の運用については,運用可能とする方針である。ただし,受信機対応のバリエーションは「今後検討する」とした。コンテンツ保護の関連では,ワンセグと同様にスクランブルはかけずに,コピー制御フラグによる運用とする方針。ただし,「コピー禁止」や権利許諾情報の管理手法(IEC62227)の運用取り扱いについては継続検討とした。

 こうしたリアルタイム放送の運用規定は年末をメドに,案を策定する予定である。また運用規定策定作業班は,「ダウンロード検討TG」「IP伝送TG」の二つのTGを設置した。有料コンテンツ・ダウンロード,交通情報,3DCG,クーポン配信,着うた,電子書籍,コンテンツIDの共通化など各種サービスの機能要件を考慮して,技術要件の整理や課題抽出を実施している。