写真●アンテナハウス システム営業グループの小林具典氏(撮影:皆木優子)
写真●アンテナハウス システム営業グループの小林具典氏(撮影:皆木優子)
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 「WebページをPDF化して印刷したり,逆に帳票ツールなどで作成したPDFをWeb配信したりすることは一般的に行われている。しかし,現状ではWebページとPDFは別工程で開発している。CSS3は,WebとPDFを同時に作成できる技術であり,開発の二度手間を解消する」---。2009年9月15日,開発者向けイベント「XDev2009」にアンテナハウス システム営業グループの小林具典氏(写真)が登壇。HTMLやXMLの表示を指定する仕様の最新版である「CSS3(Cascading Style Sheets,level 3)」をテーマに講演した。

 まず,小林氏はHTMLと従来のCSS(CSS 1,2)で作成されたWebページの問題点を二つ指摘した。一つ目は,「出力機能が貧弱で,Webページを印刷したときにページの右端が切れてしまったりしていた」(同氏)。二つ目は,「同一データをWebとPDFの両方で作成したい場合もある。しかし,従来技術ではWebとPDFが別工程で開発されるため,データが二元管理されることになる」(同氏)。

 CSS3は,これら二つの問題を解消する。まず,Webページの出力機能が強化され,新たにページサイズ,段組,縦書きなどが指定できるようになった。例えば,次のようにページサイズを実寸やページサイズ名で指定できる。


@page{
size:210mm 297mm;/*実寸で指定*/
}
@page{
size:A4;/*ページサイズ名で指定*/
}

 さらに,次のように段数や段の間隔を指定して段組表示することも可能だ。


div.multi{
-ah-column-count:2;/*段数を指定*/
-ah-column-gap:5mm;/*段の間隔*/
}

 また,縦書きは下記のように指定する。


div.vertical{
-ah-writing-mode:tb-rl;/*縦書き*/
height:16em;/*1行の文字数*/
}

HTML/CSS3で作成したWebをそのままPDF化

 CSS3は,WebページとPDFの開発の二度手間も解消する。小林氏は,アンテナハウスが開発したフォーマット・ソフト「AH Formatter V5」を使い,「HTMLとCSS3で作成したWebページを,同じHTML/CSSのデータを使ってPDF化できる」(同氏)ことを紹介した。

 さらにCSS3の技術では,同じHTML/CSSデータを,WebブラウザとPDFで内容を変えて表示することも可能だ。「たとえば,Webページに挿入されたリンクは,Webでは有用なデータだがPDFでは役に立たない」(小林氏)。この場合,Webページにはリンクを表示し,PDFにはURLを表示するというように,媒体ごとに表示を設定できるのもCSS3の特徴である。

 最後に小林氏は,アンテナハウスのHP内にあるCSS3のデモサイトを紹介した。Webページの製本や,Web入力フォームをPDF化するなど,「実用的なデモでCSS3の実力を体験できるので,ぜひ見に来てほしい」(同氏)。