写真●マイクロソフト コンシューマー&オンラインマーケティング統括本部 オンラインマーケティング本部 Windows Live/Mobileグループ プロダクトマネージャーの内河恵氏
写真●マイクロソフト コンシューマー&オンラインマーケティング統括本部 オンラインマーケティング本部 Windows Live/Mobileグループ プロダクトマネージャーの内河恵氏
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 マイクロソフトは2009年9月11日,10月22日に一般向け発売を予定しているWindows 7のアップグレードに関する説明会を開催した(写真)。説明会では,OSのアップグレードに加え,メール環境の移行についても解説した。既存WindowsからWindows 7にアップグレードする場合に手順を間違えると,メールの一括移行に失敗するケースがあるという。

 Windows 7ではOSの標準ツールとしてメール・ソフトを提供しない。その代わりに,無料オンライン・サービス「Windows Live」の関連ツールである「Windows Liveメール」を,Windows 7のセットアップ後に無償で追加インストールできる。このWindows Liveメールでは,「Outlook Express」や「Windowsメール」といった既存の標準メール・ソフトで使っていた情報もそのまま引き継ぐ。ただし,Windows XPのOutlook Expressから移行する場合には,手順を間違えると情報の引き継ぎに失敗してしまうことがある。

 Windows Vista(SP1以降)からWindows 7の同等エディションへOSを移行する場合には,ファイルや設定を保持したまま上書きする「アップグレード・インストール」となる。この場合,Vistaのデフォルト・メーラーである「Windowsメール」の設定,保存メール,アドレス帳,フォルダ構成などは,Windows Liveメールを追加インストールした際にそのまま引き継がれる。

 一方,Windows XPからWindows 7へ移行する場合は,ファイルや設定を保持しない「新規インストール」となる(Vistaからでも対象エディションや64ビット/32ビットといった動作環境が変わる場合も同様)。この新規インストールでは,既存のファイルや設定はいっさい引き継がれない。そのため,既存環境を引き継ぎたければ,Windows 7の「Windows転送ツール」を使って改めて移行作業を実行する必要がある。このWindows転送ツールを使えば,Outlook ExpressやWindowsメールの設定,保存メール,アドレス帳,フォルダ構成といったメール環境も引き継げる。

 ただし,「Windows転送ツール」では,こうしたメール関連データをWindows Liveメールで扱える形式に直接変換するわけではなく,移行のためのデータ形式にいったん変換するだけである。そして,この移行のためのデータをWindows Liveメールに読み込む処理は,Windows Liveメールの初回起動時にのみ実施される仕様になっている。このため,もしWindows転送ツールでデータを変換する前にWindows Liveメールを起動してしまうと,Windows Liveメールは「移行データなし」と判断して移行処理をスキップしてしまう。その後にWindows転送ツールでデータをいくら変換しても,Windows Liveメールでその移行のためのデータを読み込むことはしない。このため,マイクロソフトでは「Windows転送ツール実行」→「Windows Liveメールインストール」の手順を守ることを推奨している。

 特に注意が必要なのは,Windows LiveメールがプリインストールされているWindows 7パソコンを購入した場合だ。転送ツールを実行する前に,うっかりWindows Liveメールを起動してしまうと,既存のWindowsパソコンのメール環境を転送ツールで一括移行することができなくなってしまう。マイクロソフトでは,「Windows LiveメールがプリインストールされているWindows 7パソコンを購入した場合は,Windows転送ツールをインストールする前にメーラーを起動しないように気を付けてほしい」(コンシューマー&オンラインマーケティング統括本部 オンラインマーケティング本部 Windows Live/Mobileグループ プロダクトマネージャーの内河恵氏)と注意を促している。