写真1 パナソニックの新型STB「TZ-BDW900F」
写真1 パナソニックの新型STB「TZ-BDW900F」
[画像のクリックで拡大表示]
写真2 「番組持ち出し」機能を利用したときの画面
写真2 「番組持ち出し」機能を利用したときの画面
[画像のクリックで拡大表示]

 パナソニックは2009年9月9日,ケーブルテレビ(CATV)用デジタルSTB(セットトップ・ボックス)の新ラインアップに,録画可能なブルーレイディスク(BD)装置と500GバイトのHDD(ハード・ディスク装置)を内蔵した「TZ-BDW900M」と「TZ-BDW900F」(写真1),「TZ-BDW900P」を2009年12月に発売すると発表した。

 映像をH.264で符号化(エンコード)することで,「フルハイビジョン8倍録画」に対応し,500GバイトのHDDに約360時間,50GBのブルーレイディスクに約35時間,4.7GBのDVDに約3時間15分のフルHDによる録画を行うことができる。また既に発売している「TZ-DCH9000」シリーズの機能に加えて,新たに「番組持ち出し」機能(内蔵HDDに録画した放送番組をSDメモリーカードに書き出すことができる機能)を追加した(写真2)。さらに「YouTube」および「アクトビラビデオ・フル/ダウンロードサービス」への対応機能を新たに搭載したほか,「かんたんダビング」などの既存機能の操作性を向上した。

 映画などを収録したBDなどパッケージ・ソフトの再生にも対応する。HDDを経由せずに放送番組を直接BDに録画することもできる。3機種のうちTZ-BDW900Mは「トランスモジュレーション方式」に対応する。TZ-BDW900FとTZ-BDW900Pはトランスモジュレーション方式に加えて,地上デジタル放送のOFDM信号をパススルー伝送する「OFDMパススルー方式」に対応する。

 パナソニックは同日の会見で,同社が描く次世代CATVの姿を提示した。パナソニックAVCネットワークス社で映像・ディスプレイデバイス事業グループCATVビジネスユニット企画グループのグループマネージャーを務める有賀健氏は,「CATVのみならずIPTVなどのVODやウェブ・ビデオを受信するホーム・ゲートウエイ機能を搭載するほか,番組を録り溜めるホーム・サーバー機能や,番組をほかの部屋で楽しめるようにするためのホーム・ネットワーク機能の充実を図る」と述べた。さらに「家電機器やモバイル機器との連携をさらに高めるほか,CATVの強みである双方向性をさらに進める」ことに加えて,双方向技術を活用した多機能TVポータル技術である「『CATVユニバーサルポータル』の技術開発も押し進めていく」(有賀氏)とした。

 なお会見では質疑応答が行われた。主な内容は次の通りである。

Q,3機種はそれぞれどのような状況で利用されると想定しているか。
A,TZ-BDW900MとTZ-BDW900Fはケーブル・モデムを搭載しており,VODサービスやインターネット・ブラウザを使う双方向サービスを提供するCATV事業者に採用される。TZ-BDW900Mはトランスモジュレーション方式に,TZ-BDW900Fはパススルー方式に対応しており,CATV事業者は自社の伝送方式によってどちらかを選ぶことになる。TZ-BDW900Pはケーブル・モデムを搭載していないため,片方向のサービスのみを提供するCATV事業者が採用する。

Q,3機種の予想出荷台数は。
A,3機種合計で年間10万台と想定している。

Q,新製品を採用する初期のCATV局の数はどれくらいか。
A,まだ発売前なので現時点では分からない。

Q,今回の新製品をCATV事業者と共同でどのような形でアピールしていくのか。
A,現在,CATVのサービス・メニューの新商品とどういう形でリンクさせていくかの相談をCATV事業者と進めている。CATV事業者のサービス・メニューには違いがあるので全国一律の取り組みというわけにはいかないが,CATV事業者と話し合いを進めていきたい。

Q,操作の仕方を音声で案内する読み上げ機能への対応は射程に入っているのか。
A,現時点で導入の予定はないが,社内に持ち帰って検討したい。

[報道資料へ]