米Googleの書籍本文検索プロジェクト「Google Book Search」を巡る米国出版業界との和解案に反対する連合「Open Book Alliance」は米国時間2009年9月8日,米ニューヨーク州南地区の連邦地方裁判所に異議申立を行った。同団体は,Googleと和解に合意した出版社などが29カ月間にわたってひそかに交渉したとして,水平的価格協定にあたると主張している。

 申請書(PDF文書)の中で同団体は,「Googleと出版業界は,価格協定に対する裁判所の正式な承認を求めている。競争を抑制し,技術の進歩を妨げようとしている。はっきり言えば,米国の反競争法と著作権法の適用免除を要請しているのだ」と非難した。Open Book Allianceは8月26日に発足し,米Amazon.com,米Microsoft,米Yahoo!などが参加している(関連記事:Google Book Searchの和解案に反対する団体が正式発足,MSやYahoo!も参加)。

 Googleと米出版業界団体が合意した和解案では,Googleが総額1億2500万ドルを支払うほか,デジタル化された作品の著作権保持者が登録するレジストリ「Book Rights Registry」の構築,著作権保持者が分からない孤児作品(orphan books)の提供などが含まれる(関連記事:Google,書籍本文検索プロジェクトで出版業界と和解)。

 米電子フロンティア財団(EFF)も同日,アメリカ自由人権協会(ACLU)などとともに,和解案を承認しないよう裁判所に申し立てた。一方,日米欧の大手コンピュータ企業/通信会社で組織する業界団体Computer & Communications Industry Association(CCIA)は,和解案に賛同する声明を発表。和解案への異議はメリットがなく,競争の懸念が誇張されているとの見方を示した。

 欧州では9月7日より,問題の和解案を巡る会合が開かれている。Open Book Alliance共同設立者のPeter Brantley氏はその会合で,「レジストリは本質的にカルテルとして機能するだろう。また,競合社は孤児作品にアクセスできず,商品やサービスを開発することができないため,Googleは利用可能なほとんどの書籍の購読について独占的立場を行使することになる」と意見を述べた。

[Open Book Allianceのプレス・リリース(1)]
[Open Book Allianceのプレス・リリース(2)]
[EFFのプレス・リリース]
[CCIAのプレス・リリース]