IFRS(国際会計基準)強制適用(アダプション)の課題解決に取り組む「IFRS対応会議」は2009年9月4日、09年中の詳細な取り組みや、15年までの長期的な活動計画を示した「IFRS対応会議 各委員会の当面の活動計画」を公表した。IFRS日本語版の年内出版を目指すほか、初歩的な啓蒙のための研修を年内に実施する計画だ。

 IFRS対応会議は「IASB対応検討」「教育・研修」「翻訳」「個別財務諸表開示検討」「広報」という五つの委員会を設置している。今回、それぞれの委員会について「7~8月の活動実績」「今後1年程度の活動の概要」「2015年に向けての長期的な活動計画の概要」の三つを示した。

 翻訳委員会では、IFRS日本語版の出版のほか、2010年以降にIFRSに対応したXBRLのタクソノミー(構文規則)の翻訳に着手することを明らかにした。XBRLは、XMLを利用して財務報告を記述するための言語。教育・研修委員会では、企業内の会計実務担当者や公認会計士、アナリスト、企業内の経営層、一般投資家などを対象にした教育カリキュラムの案を10月末までに明らかにするとした。

 個別財務諸表開示検討委員会では、IFRS適用時に連結財務諸表が中心になる場合の個別財務諸表の位置づけについて09年末までに論点を整理する。IFRSを作成しているIASB(国際会計基準審議会)とのコミュニケーションを考えるIASB対応委員会は、金融商品に関する会計基準や、退職給付、キャッシュフローの計算方法など、日本の現行の会計基準とIFRSとの差異が多い点について、12月末までに論点を整理。加えて15年に向けた長期的な活動として、19社が参加して実務対応を考える「IFRS導入準備タスクフォース」の活動開始を挙げた。

 IFRS対応会議には、財務会計基準機構/企業会計基準委員会(ASBJ)や日本経済団体連合会(経団連)、東京証券取引所グループ、日本公認会計士協会などが参加している(関連記事)。