米eBayは米国時間2009年9月1日,同社傘下でVoIP事業を手がけるルクセンブルグSkypeの売却を発表した。投資会社の米Silver Lakeを中心とする投資家グループに,Skypeの株式の約65%を譲渡する。eBayは19億ドルの現金のほか,1億2500万ドルの証券も受け取る。

 Skypeの約35%の株式は今後もeBayが保有する。手続き完了は2009年第4四半期を見込んでおり,取引規模は総額で27億5000万ドルにのぼる見込みという。

 eBay社長兼CEOのJohn Donahoe氏は「これは素晴らしい取引だ。eBayには短期的および長期的価値を,Skypeには莫大な可能性をもたらす」と述べた。また,「Skypeは強力な独立した事業だが,eBayのEC事業やオンライン決済事業とのシナジー効果を生み出すものではない」と説明した。

 eBayは2005年にSkypeを買収(関連記事:米eBayがルクセンブルグSkypeを買収へ,取引総額は最大約41億ドル)。しかし,eBayサイトおよびPayPalサービスとのシナジー効果が低いとの判断から,今年4月に分社化を決定した。新規株式公開(IPO)を実施し,2010年前半に分社化する方針だった(関連記事:eBayがSkypeのIPO計画を発表,2010年前半をめどに分社化)。2008年のSkypeの売上高は5億5100万ドルで前年から44%成長した。2008年末時点の登録ユーザー数は4億500万人に達した。

 売却先の投資家グループにはSilver Lakeのほか,米Index Ventures,米Andreessen Horowitz,カナダCanada Pension Plan(CPP)Investment Boardなどが参加している。Andreessen Horowitzは,米Netscape Communicationsの創始者Marc Andreessen氏がビジネス・パートナーのBen Horowitz氏と共同で7月に立ち上げたばかりのベンチャー・キャピタルだ(関連記事:Netscape創始者が新ベンチャー・キャピタルを設立,投資資金3億ドル)。また,米メディア(New York Times)は,Skype創設者であるNiklas Zennstrom氏とJanus Friis氏がSkypeの買い戻しを図り,複数のプライベート・エクイティに働きかけていたと報じている。

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