写真●KDDIの古賀靖広・渉外・広報本部渉外部長
写真●KDDIの古賀靖広・渉外・広報本部渉外部長
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 KDDIは2009年8月27日,通信自由化以降の競争政策について,記者向けの説明会を開催した。同社は,6月にも同様の説明会を実施しており,今回が第2回目の開催となる(関連記事)。

 KDDIの古賀靖広・渉外・広報本部渉外部長(写真)は「(政府与党合意に記された)NTTの再々編問題についての議論を促す,という前回の主旨が『組織問題ありき』と誤解をされた点がある」とこれまでの主張を修正した。「KDDIとしては,光回線時代に事業者間の競争が今後も機能するのかどうか,過去の経緯も振り返り再確認するための議論を活性化したい」(古賀部長)という。

 今回の説明会では,加入電話や,インターネット接続の競争の変遷について資料を提示ながら説明した。加入電話市場については,「00XYという事業者識別番号が不要になったマイライン導入のタイミングでは,すでに電話の通話量はピークを超していた。結果として体力のあるNTTグループが再びシェアを回復する結果になった」(古賀部長)と指摘。タイムリに競争政策を導入することが重要だと強調した。

 インターネット接続市場については,「NTT東西が貸し出すドライカッパ(未利用の加入電話回線)の料金が政策的に引き下げられたことで,ADSL(非対称デジタル加入者線)市場の拡大とユーザー利益の向上につながった」と,過去の政策を評価した。しかし,「すでにインターネットの高速化やIP電話への移行といったニーズで,市場の中心はFTTH(fiber to the home)サービスに移っている。だが,NTT東西のダークファイバを借りる環境が十分でないため,NTT東西以外の事業者が,競争できる領域が狭まっている」と指摘した。

 古賀部長は,「総務省は,FTTHサービスについて電話網とは違う新しい設備に一から投資するものという位置づけで,NTT東西以外の事業者も自ら設備投資でリスクを負って競争するべきと,設備ベースの事業者間競争に焦点を当てていた。結果,NTT東西が回線ベースで79%のシェアを獲得し,独占性を強めることになった。その影響として,FTTHサービスで利用できるサービスの競争が進展していない」と問題点を挙げる。

 その上で「KDDIとしては,今後も設備ベースの競争政策を続けるのであればダークファイバの開放を十分に進めるべきだし,設備はNTT東西に依存しサービス面の競争に移るのであれば必要な政策を導入すべき。その方向性について,広く議論を喚起したい」とまとめた。

 KDDIでは今後も,競争政策についての説明会を定期的に開いていく考えである。次回の開催時期は未定だが,今回と同様2~3カ月の間を空けて新たなテーマを取り上げる計画だ。

■変更履歴
本文の冒頭で説明会を開催した日付を2009年8月28日としていましたが,正しくは2009年8月27日です。お詫びして訂正します。本文は修正済みです。 [2009/08/28 13:05]