米Googleが同社の書籍本文検索プロジェクト「Google Book Search」を巡って作家団体や出版業界と合意した和解について,これに反対する連合「Open Book Alliance」が米国時間2009年8月26日に正式発足を発表した。米Amazon.com,米Microsoft,米Yahoo!も参加している。

 図書館関係者,法学者,作家,出版社,技術企業などで組織されたOpen Book Allianceは,Googleと作家団体Authors Guildおよび米国出版者協会(AAP:Association of American Publishers)で交わされた和解案に異議を唱え,公平でフレキシブルな手段によってより大規模でオープンな仕組みの実現を目指すとしている。

 Google Book Searchは,世界の大規模図書館の蔵書をスキャンしてデジタル化し,インターネットで全文検索ができるデータベースを作成するというもの。Authors GuildやAAP加盟出版社は,同プロジェクトが著作権侵害に当たるとして2005年にGoogleを提訴したが(関連記事:米出版業界団体,米Googleの書籍本文検索プロジェクトの著作権侵害を巡り提訴),2008年10月に,Googleが総額1億2500万ドルを支払うことで和解合意に達した(関連記事:Google,書籍本文検索プロジェクトで出版業界と和解 )。

 和解案には,デジタル化された作品の著作権保持者が登録するレジストリ「Book Rights Registry」の構築や,孤児作品(orphan books)の提供などが含まれる。孤児作品とは,絶版となった書籍で著作権保持者が分からない作品を指し,和解案では,Googleが著作権保持者を特定しないままこれら作品を読者に提供することを認めている(関連記事:Google Book Search訴訟,米作家協会会長は和解を支持)。和解の成立には裁判所の承認を得る必要があり,10月7日に裁判所は最終判断を行う予定。

 Open Book Alliance共同議長のPeter Brantley氏とGary Reback氏は,「デジタル・ライブラリが単一の企業と共謀する少数の出版社によって管理されれば,消費者,図書館,学者,学生は価格の高騰とサービスの低下に直面するようになる」と批判する。また,大量の書籍デジタル化と配信はオープンで健全な公共ポリシーのもとで行われるべきであり,長期的な消費者の利益を考慮すべきだと述べた。

 Open Book Allianceには上記3社のほか,米ジャーナリスト・作家協会,デジタル・アーカイブの運営を行う非営利団体Internet Archive,ニューヨーク図書館協会,専門図書館協会などもメンバーとして名を連ねている。

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