ネットワークバリューコンポネンツ(NVC)は2009年8月26日,「LSNクラウド・サービス」を提供すると発表した。LSNはラージ・スケールNAT(large scale NAT)の略で,2011~2012年に在庫が底をつくと見られるIPv4アドレスの枯渇対策の一つである。NAT(network address translation)は,ユーザー宅のブロードバンド・ルーターなどで実施しているアドレス変換の技術だが,LSNはそれを通信事業者側で実施する。こうすることで,一つのグローバル・アドレスを多数のエンドユーザーで共用し,使用するIPv4アドレスの数を少なく抑える。このサービスは,NVCがLSNの機能をプロバイダ(ISP)など通信事業者向けに提供するものである。

 NVCは,社内に同サービスを担当するJPTRANSというプロジェクトを発足。首都圏や東北地方のIX(internet exchange)にLSNのシステムを置いてもらい,JPTRANSがこれを運用してNAT変換やログやストレージの管理を行う。首都圏のデータ・センターにLSNシステムを置く予定もある。このサービスで使うLSNシステムは,NVCの子会社であるセーブルネットワークスが販売する「SJ-NAT」である。

 LSNクラウド・サービスを利用する通信事業者は,NVCがLSNシステムを設置したIXにつなぎ込むことでサービスを利用する。LSNクラウドの料金は,「このサービスを利用するプロバイダのアカウントが数千単位で月額数十万円というオーダーになる見込み」(NVC)。サービス・エリアは首都圏および東北エリア。9月に首都圏で実験サービスを開始する。正式サービス開始は「2010年第1四半期を予定している」(NVC)という。

[発表資料(PDF)へ]