クローバワークスは2009年8月25日,VDI(仮想デスクトップ環境)ソフト「VERDE」の販売/出荷を開始した。遠隔操作プロトコルにVNCを利用した独自仕様のVDIソフトであり,Linuxデスクトップを扱える点と,ライセンス価格の安さが特徴という。価格は,同時アクセス1ライセンスで125ドル,1000ライセンス以上なら1ライセンス50ドル。SIベンダーのオリゾンシステムズなどと協業し,今後1年間で20社1万6000ライセンスの販売を見込む。

 VERDEはVDIソフトである。データセンター側のサーバー機の上で,仮想マシンとして実現した個々のデスクトップ機を動作させ,画面情報端末(シンクライアント)経由で遠隔操作できるようにする。個々のユーザーと仮想デスクトップ機を1対1にヒモ付けるコネクション・ブローカ機能を中核に,複数ユーザーによるOSイメージの共有や仮想デスクトップ機のダウンロードなど,各種の付加価値を組み合わせている。

 仮想マシン・ソフトは,ホストOS上でゲストOSを動作させるタイプである。VERDEを利用するユーザーは,ホストOSのユーザーIDを持つ。仮想デスクトップ機にログインすると,OSの共通イメージを利用して仮想デスクトップ機を動的にプロビジョニング(配備)しつつ,ホストOSの「/home」ディレクトリ配下に格納したユーザー専用の領域(Windows XPなら「Documents and Settings」など)を利用できるようになる。

 ホストOSとして利用可能なOSは,各種Linux(Red Hat,SUSE,Ubuntuなど)またはSolarisである。一方,ゲストOSとして利用可能なOSは,WindowsまたはLinuxである。ユーザーが手元で操作する画面情報端末デバイス上では,専用クライアント・ソフト「VDIクライアント」が稼動する。VDIクライアントの稼働OSは,Windows 2000/XP/VistaまたはLinux。

 VDIクライアントは,画面情報端末による遠隔操作だけでなく,仮想デスクトップ機のイメージ・ファイルを手元のデバイス(ノートPCなどのクライアント機)にダウンロードして動作させる「SMARTクライアント」機能も備える。1度ダウンロードすると,次回からは差分データだけを更新できる。SMARTクライアント機能を利用する場合は,クライアントPCのCPUが,Intel VTやAMD Vなどの仮想化支援機構を備えている必要がある。

 なお,VERDEの開発会社は,米Virtual Bridges。同社は,2008年11月に初期版「バージョン1.0」を,2009年7月に仮想イメージのダウンロード機能を追加した「バージョン2.0」をグローバルで出荷している。クローバワークスは2009年3月に,国内では2社目となる国内販売代理店契約を交わしており,8月25日から販売/出荷を開始する。クローバワークスによれば,国内でのVERDEの提供は,今回が初めて。オリゾンシステムズなどのSIベンダーによる導入支援サービス経由で,ユーザー企業にライセンスを販売する。韓国市場と中国市場も狙うという。

■変更履歴
記事公開時,本文中5カ所でVDIをDVIと誤記していました。お詫びして訂正します。本文は修正済みです。 [2009/08/25 18:24]