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 米IBMの研究開発部門IBM Researchとカリフォルニア工科大学(Caltech)は,リソグラフィ技術とDNA分子による自己組織化の組み合わせで微細な構造を作る技術を開発したと,米国時間2009年8月17日に発表した。DNA分子を回路の骨組みとして利用することで,リソグラフィ技術だけでは実現が難しい22nmプロセス・ルール以降のLSI製造が可能になるとしている。

 自己組織化とは,ある種のポリマー(重合体)分子が自然に集まり,規則的な構造を作り出す現象。IBMとCaltechはポリマーの一種であるDNAを用い,「折り紙」と呼ぶ微細な構造を作ることに成功した。1辺が100nm~150nm,DNAの2重らせんと同じ四角形や三角形,星形の作成が可能という。この構造物を骨組みとして使い,カーボン製のナノチューブやナノワイヤー,ナノ粒子などを付着させることで,極めて小さな電子回路が実現できると見込む。

 DNA分子による折り紙構造は,Caltechが開発した技術を使って自己組織化により生成する。6nm程度の細かさの構造物が作成可能という。基本形状となるテンプレートは,IBMが既存のリソグラフィ技術を応用して用意した。

 この技術の詳細は,英国の科学雑誌「Nature Nanotechnology」(9月号)に掲載する論文「Placement and orientation of DNA nanostructures on lithographically patterned surfaces(リソグラフィで作成した表面に対するDNAナノ構造の配置および整列)」で説明する。

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