中国国内の全パソコンにフィルタリング・ソフトの導入を義務づけるとしていた中国政府の計画が大きな議論を呼んでいたが,中国政府はこの計画を断念するようだ。

 中国メディアの報道(新華社新華網)によると,中国工業情報化相のLi Yizhong氏は中国で現地時間2009年8月13日,フィルタリング・ソフトのインストールを義務化しないことを発表した。ただし,インストールするかどうかは消費者の判断に任せるものの,学校やネットカフェなど,公共の場で使用するパソコンについてはインストールを義務づけることになるという。

 中国政府の計画では2009年7月1日以降に中国国内で出荷されるパソコンに,中国ベンダーJinhui Computer System Engineeringが開発した「Green Dam」ソフトをプリインストールすることを義務づける予定だった。中国政府はその目的を,ポルノ・コンテンツの遮断だとしているが,特定のWebサイトへのアクセス防止といった中国政府によるコントロールの可能性があると,各方面から非難の声が挙がっていた。

 米国情報技術工業協議会(ITI)をはじめとする業界団体は,中国政府に方針の見直しを迫る声明を2009年6月9日に発表し(関連記事:米業界団体が中国政府に反発,PCのフィルタリング・ソフト導入義務づけで),米連邦政府は中国政府に正式に異議を伝え,計画の撤回を求めた(関連記事:中国のフィルタリング・ソフト導入義務づけ,米政府が正式に懸念を表明)。その後,中国政府は計画実施を延期していた(関連記事:中国政府がフィルタリング・ソフト導入を延期,各業界団体は米政府の介入を評価)。