i4iの米国特許第5,787,499号に添付されている図(一部)
i4iの米国特許第5,787,499号に添付されている図(一部)
[画像のクリックで拡大表示]

 米テキサス地方裁判所は,米i4iの特許を侵害しているとして,米MicrosoftにWord 2003および2007の米国内での販売を差し止める判決を下した。i4iの代理人である法律事務所McKool Smithが2009年8月11日(現地時間)明らかにした。

 i4iはカナダのトロントに本社を置く企業で,Microsoft Word上のXMLオーサリング・ツールなどを開発,販売している。テキサス地方裁判所は,2009年5月20日,Microsoftがi4iの特許を侵害していると認定し,Microsoftに2億ドルの支払いを命じていた(関連記事)。今回の判決ではさらに意図的な侵害に対する賠償として4000万ドル,延滞金として1日あたり14万4060ドル,合計2億9000万ドル以上を支払うよう命じている。

 i4i が侵害されたと主張している特許は,同社が1994年に出願,1998年に取得した米国特許第5,787,499号「Method and system for manipulating the architecture and the content of a document separately from each other(コンテンツと構造が分離されたドキュメントを操作する方法およびシステム)」。特許の内容は「ドキュメント中にあるメタコードのマップを作成し,分離して格納する。マップはドキュメント中のメタコードのアドレスを示す。このシステムにより一つのコンテンツを異なる形式で表示できる」(特許文書より)というもの。

 i4iは,WordのカスタムXMLを含む.XML、.DOCXまたはDOCMファイル(XMLファイル)を扱う機能がこの特許を侵害していると主張している。

  Wall Street Journalの報道などによれば,Microsoftは判決を不服とし控訴する方針。

 OpenOffice.orgやGoogle DocsなどがサポートするISO標準ドキュメント形式であるODF(OpenDocument Format)も,DOCXなどと同様にXMLをベースとしている。しかし,ITの法律問題を扱うブログGroklawによれば「ODFはカスタムXMLをよくない方法と見なしている。カスタムXMLではなく,拡張可能なメタデータを採用している」という。

[発表資料]