情報処理推進機構(IPA)は2010年3月をめどに、ITスキル標準(ITSS)で規定された11職種のうち、マーケティングとセールスを除く9職種のモデルキャリア(標準的なキャリア経歴)を文書化する。モデルキャリアの策定に当たっては、各職種とも10名程度の現役エンジニアにインタビューしてまとめる。モデルキャリアを提示することで、学生や若手エンジニアに広がる将来への不安感の払拭を狙う。

 この事業は経済産業省の「IT人材育成強化加速事業」の一つで、公募によりIPAが受託した。IT人材育成強化加速事業にはITSSの9職種のモデルキャリアの文書化のほか、各職種の人材育成ノウハウ集の策定なども含まれる。2008年に経済産業省が策定したプロジェクトマネジャのモデルキャリアを文書化したもの(関連記事)が好評だったため、対象職種を拡大した。

 モデルキャリアの策定に当たっては、各職種とも40代前後の現役エンジニア10人程度に聞き取り調査する。「ITSSのレベル4に相当するスキルを備える現役エンジニアにインタビューをすることで、若手エンジニアが身近に感じられるモデルキャリアを作る」(IPAの武井幸三IT人材育成部ITスキル標準センター企画グループリーダー)。各職種とも女性エンジニアを3人程度含める。調査は8月中旬に9つの職種別部会で構成されるCDP委員会で対象者を決定し、9月から12月半ばまでをめどに実施する。