日本音楽著作権協会(JASRAC)は2009年8月6日,公正取引委員会から2月27日付けで受けた排除措置命令が確定するまでの間,命令の執行が免除されることになったと発表した。JASRACによる命令の取消しを求める審判手続きおよびその後の裁判手続きの間は,命令が執行されないことになる。

 JASRACは同命令の内容がJASRAC単独での履行が困難なもので,JASRACと音楽著作物の利用者である放送事業者,JASRACに音楽著作物の管理を委託する権利者にまで回復し難い損害を生じさせる恐れがあることなどを理由として,執行の免除を求めていた。東京高等裁判所は7月9日にJASRACの申立てを認めて,保証金(1億円)を供託することでその執行を免除するとの決定を下した。

 JASRACが2009年8月6日に1億円を供託したため,当面の命令執行の免除が決まった。これによりJASRACとの間で利用許諾契約を締結している放送事業者に命令の執行に伴う影響が及ぶ事態が当面回避された。放送事業者は従前どおりの手続きで音楽を利用できる。

 JASRACは多額の保証金を供託することの是非に関して,2009年8月5日の理事会において慎重に議論した。その結果,「同命令の執行の免除を受けて現行の合理的な許諾・徴収方法を維持し,正しい判断を求めることが大局的に見て権利者のみならず利用者の利益にもかなうとの結論にいたり,保証金の供託を全会一致で決定した」(JASRAC)という。

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