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経産省が脱・人月を目指す「情報システムのPBCに関する調査研究」報告書を公開経済産業省(経産省)は2009年7月31日,「情報システムのパフォーマンスベース契約に関する調査研究」の報告書を公開した。報告書は情報システムの価格を労働時間に基づく人月ではなく,システムの効果に基づき設定する「パフォーマンスベース契約(Performance Based Contracting:PBC)」の効果,課題,事例などを調査したもの。 報告書は「現行の人月をベースにした価格による契約では,ユーザーとベンダーの双方が価格に対して不信や不満を感じている」とし,「人月積算を前提とした固定価格のみでは,ベンダーの品質向上や創意工夫などへのモチベーションは生まれない。さらに,ユーザーにとって経営層に説明できない価格では,投資の妥当性を提示できず,投資意欲そのものを減退させてしまう」と,人月の問題を指摘している。 そしてPBCではユーザーにとっては「無駄な投資が減る等,適正な価格でのIT投資ができる」,「目的を共有することから,ベンダーの積極性を期待することができる」,ベンダーにとっては「システムの効果に応じた適正な対価を得ることができる」,「人月ベースの契約から脱却することで,付加価値の創出や効率化に対するモチベーションが向上する」といったメリットがあるとする。 PBCのデメリットとしては,ユーザーにとっては「契約時に価格が確定せず,実績により事後的に価格が変動するため,定額固定契約と比べて予算確保が難しい」,ベンダーにとっては「期待した効果が出せない場合,定額固定契約と比べて収益の縮小となる可能性がある」ことなどをあげている。また,価格を決めるための作業が煩雑となる可能性も指摘している。 報告書はPBCを適用するための工程を5つのステップに分け,その手順を説明している。5つのステップは(1)目的・効果の確認,(2)情報サービスの価値を測定する指標「キーパフォーマンスインジケーター(Key Performance Indicator:KPI)の設定,(3)価格設定,(4)契約内容の決定,(5)KPIの評価と見直し,で構成される。 価格モデルは「分配モデル」,「レベル設定モデル」,「目標値達成モデル」の3モデルに分類している。 「分配モデル」は,PBCによって発生した利益をユーザーとベンダーで分配するもの。発生する利益の例としては事業収益の向上分,コスト削減分などがある。 「レベル設定モデル」は,KPIの指標値とその範囲を設定し,その範囲ごとに価格を設定するもの。KPIの達成状況に応じて事前に設定した価格を支払う。 「目標値達成モデル」は,最初に標準工期などKPIの指標値(目標値)を設定し,その指標値を達成できた場合に,ベースとなる価格にインセンティブ分を上乗せして支払うもの。 報告書では事例として,米国の連邦政府や,国内企業の実例を紹介している。 米国では効率化やサービスの品質向上を目的としてパフォーマンスベース調達(PBA)を実施しており,2008年度は対象案件のうち50%をPBAとすることを目標に掲げているという。 国内事例としては以下の価格・報酬形態を紹介している。
・ユーザーとベンダーの協同事業による収益分配
・取引件数に応じた利用料
・事前に決められた販売額と製品仕入額の差額
・事業売上やSLAなどKPI測定値の一定割合
・電話応答率や納期順守率などKPI測定値によって月額サービス料金を変動
・成功件数×成功報酬額(成功率により調整)
・ITコスト削減分の50%
・ダウンタイムがミニマムを超えるとペナルティ
・レコメンド売上の5%
・取引額の2%など
・粗利益額の変動分に連動
・売り上げの1〜3% 報告書をまとめた「情報サービスのパフォーマンスベース契約に関する研究会」の委員は以下の通り(敬称略)。
座長:櫻井通晴 城西国際大学経営情報学部客員教授 最新ニュース記事一覧へ >> |