写真●講演するガートナージャパン リサーチグループの山野井聡バイスプレジデント
写真●講演するガートナージャパン リサーチグループの山野井聡バイスプレジデント
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 「ユーザー企業におけるIT部門のリーダーは、契約交渉、ベンダーのパフォーマンス評価、相互理解の促進という3つの視点で‘情報の可視化’を図るべきだ」。ガートナージャパンの山野井聡バイスプレジデントは2009年7月31日、東京・目黒で開催された「第6回itSMF Japanコンファレンス」で「IT部門とベンダーのパートナーシップ構築―IT戦略実現に向けての実践」と題した特別講演で、こう強調した。

 山野井氏は、ユーザー企業のIT部門とベンダー間で情報の可視化を図るべき3つのポイントのうち、まず「契約交渉」について語った。その中で、「IT部門のリーダーは、利用部門とベンダーの立場が相反する事項の特定に努めるべきだ。曖昧な部分や潜在的リスクをベンダーに極力開示し、回避策をベンダーと検討・合意する必要がある」とした。

 2つ目のポイントである「ベンダーのパフォーマンス評価」では、開発工程と運用工程で重視すべき評価項目が異なると指摘。その上で、「開発工程では品質と生産性の可視化に留意すべきだ。一方、運用工程ではユーザー企業とベンダー間でSLAを結び、このSLAを軸に継続的な改善のサイクルを根付かせる必要がある」と述べた。

 情報の可視化を図るべき最後のポイント「相互理解の促進」に関しては、「ユーザー企業とベンダー間のコミュニケーションとフィードバックの仕組みを確立していくことが重要になる」とし、「この仕組みが徹底されているアジャイル開発を選択肢の一つに含めるべき時に来ているのではないか」と語った。