写真1●決算会見をする孫正義社長
写真1●決算会見をする孫正義社長
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 ソフトバンクは2009年7月30日,2009年度第1四半期(4~6月)の決算を発表した。売上高は前年同期比3%増の6663億円,営業利益は同27%増の1082億円の増収増益。孫正義社長は,「中でも移動体通信は売り上げ,営業利益ともに大きく,成長を一番大きくけん引した」と説明した(写真1)。

 フリーキャッシュフローは565億円となり,前年同期のマイナス378億円から改善した。2008年10月に示した2009年度通期のフリーキャッシュフローが2500億円という予想に対して,「第2四半期以降が仮に前年比で横ばいであっても,2500億円を実現できる」と,孫社長は自信を見せた。今後は,2011年度までの3年間で1兆円のフリーキャッシュフローを創出し,2008年度時点で1兆9000億円あった有利子負債を半減するという。さらに孫社長は,「2014年度には無借金経営になる」との目標を定めた。

 移動体通信の売上高は,前年同期比9.3%増の4073億円。営業利益は同36.1%増の603億円。米アップルの新端末「iPhone 3GS」の発売なども影響し,順増数はで32万3300件とNTTドコモやKDDIを超える数値となった。音声ARPU(ユーザー1人当たりの月間平均収入)は減少傾向にあるものの,端末の割賦請求分を含めれば「顧客1人当たりの現金収入はここ数年は一定」(孫社長)として,全体の収入は増加していることを強調した。今後はCMに人気グループのSMAPを起用するなど,ブランディングも強化する。

 端末については,iPhoneの販売が好調であることに触れ,「(新製品のiPhone 3GSの操作性には)最初にパソコンやインターネットに触れたときに匹敵する感動がある。iPhoneだけではなく,世界中のほかの携帯も全てiPhoneのような機能を搭載していくだろう」(孫社長)と展望した。国内メーカーの海外展開については,「PDCのような固有の技術が通信政策として導入され,世界から分断されてしまった。それがメーカーの悲劇の始まりだった」と振り返りつつ,国内メーカーは国際標準の技術を取り込みながら「もう一度世界に打って出るべき」と述べた。