写真●日本IBMの下野雅承 取締役専務執行役員
写真●日本IBMの下野雅承 取締役専務執行役員
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 日本IBMは2009年7月30日、IT資源を従量制で貸し出す企業向けサービス「マネージド・クラウド・コンピューティング・サービス(MCCS)」を、10月中旬に開始すると発表した。顧客は日本IBMのデータセンターに設置したサーバーやストレージといったIT資源を、インターネット経由で利用。仮想化技術を使って複数顧客のシステムで同一の資源を共用する。99.999%という高水準の稼働率保証を売り物に、大企業の部門システムや中堅企業の全社システムなどの運用を狙う。

 日本IBMがMCCSで提供するのは、x86サーバーの処理能力。プロセサの処理能力を測定する評価指標「SPECint_rate2006」に基づいて料金を徴収する。WindowsなどのOSやデータベースなどのミドルウエアは、原則として顧客企業が用意する。仮想化ソフトには「VMware」を使う。

 仮想化技術を使った同様なIT資源貸しサービスは、他の大手IT企業がすでに手がけており、IBMは比較的後発だ。同社は99.999%という高い稼働率を保証して、他社と差異化を図る。加えて3段階の運用サービスを用意する。内容は「監視のみ」のレベル1、「監視、運用、障害の一時対応」のレベル2、レベル2にSEによるサポートを含めたレベル3である。

 顧客は使用量に応じて料金を支払う。料金の目安は、SPECint_rate2006の値を「5.0」として、OSにWindows、メモリー1Gバイト、ディスク容量20Gバイト、運用レベルが1の場合で月額5万円。SPECint_rate2006が5.0の処理能力は、ファイルやプリンタの共有、部門レベルのアプリケーションが稼働するのに問題のない水準だという。

 MCCSの最低契約期間は1カ月。料金にはネットワークの利用料も含まれており、顧客企業はデータセンターまでの通信料金を別途支払う必要はない。

 「従来のIBMのアウトソーシング事業は、月額何百万もかかる大企業向けというイメージがあった。今回のサービスは、より小規模な企業、大企業の部門システムの運用にも活用してもらいたい」。日本IBMでアウトソーシング事業を統括する下野雅承 取締役専務執行役員は、MCCSの狙いをこう話す(写真)。流通や小売り、学校法人など、「処理量に季節変動があったり週末だけ稼働するといったシステムで、必要に応じた処理能力を手当てしてもらえる」とアピールした。

■変更履歴
発表日を2009年7月31日としていましたが,正しくは2009年7月30日です。お詫びして訂正します。本文は修正済みです。 [2009/07/30 16:40]