写真●日本仮想化技術社長兼CEOの宮原徹氏
写真●日本仮想化技術社長兼CEOの宮原徹氏
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 「仮想化の製品選びの際には,電力対性能比を重視すべき。データセンターでラック内の空きスペースを物置にしているようでは駄目だ」。日本仮想化技術社長兼CEOの宮原徹氏は2009年7月29日開催の「仮想化フォーラム2009 Summer」で講演し,仮想化提案における“旬の構成”を実測データを交えて披露した。

 宮原氏はユーザーからの要望として「『ラックの電源容量が40~60Aしかないが,サーバー統合を進めたい』といった声をよく耳にする」という。データセンターのラックは空いているのに,電源の容量不足でハードウエアを増やせない。そこで「まずは省電力型サーバーを選んで,性能が足りなくなった時点で別の手を考える」というアプローチが現実的だという。

 省電力サーバーとして顧客に提案するのは,「今ならCPUにXeon 5500番台の低電圧版を搭載するエントリー機」。エントリー機のレンジで比較すると,低電圧版Xeon 5500番台の省電力効果,メモリー・モジュールが従来のFB-DIMMからDDR3 SDRAMに先祖返りしたことによる省電力効果などで,「実測すると旧アーキテクチャのXeonサーバーより16~18%の消費電力削減を確認できた」(宮原氏)。

 それでいて最大メモリー容量は,32Gバイトから48Gバイトに上がっている。メモリー,そしてCPUコア数がものをいう仮想化環境では,消費電力対性能比の高さが際立つ。ある案件では「消費電力を3分の1に削減でき,年間約127万円の電気代節約効果が見込める」と提案したという。

 もちろん低電圧版である以上,動作周波数は通常版より低くなる。しかし「仮想化環境ではCPUの動作周波数よりコア数が効く。電源容量不足でデータセンターのラックにサーバーを詰め込めず,“物置”になるよりはまし」なため,現実的な選択肢だと宮原氏は強調する。

ストレージの第1選択肢はFC SAN,今後はSSDを注視

 省電力サーバーと並んで「ストレージも肝になる」(宮原氏)。複数の仮想マシンに割り当てられる共有ストレージが単一障害点になりがちだからだ。ここは高価であっても「Fibre ChannelによるSANストレージを第1選択肢とする」(同氏)。

 速度面では「SSDに注目している。とにかく速い」(同氏)。TPC-Bを参考にしたオンライン・トランザクション・ベンチマーク・ソフトのpgbenchによる実測では,米Intel製SSDのIntel X25-Eはキャッシュの有無に関係なく比較対象のSANストレージ(HP MSA1000 Fibre Channel)に比べて高速だったという。もっとも「実績の少なさや高額なドライブ単価,書き換え回数の上限などに不安がある」とし,選択肢の上位に挙げるには時期尚早とする。

 宮原氏は講演の最後に運用管理について言及し,仮想化のボトルネックとなる「I/O周りを重点的に監視すべき」とした。ただ仮想化環境を扱うには「幅広いスキルが必要になることから,運用保守要員の確保が難しくなってきている」と人員面での課題を指摘して講演を締めくくった。