米GoogleとOpen Handset Allianceが共同開発した携帯電話機向けソフトウエア基盤「Android」を,セットトップ・ボックス(STB)や家電製品向けの組み込み用途として利用するための標準化作業を行っている一般社団法人のOpen Embedded Software Foundation(OESF)は2009年7月29日,ウェルビーンとアイ・エス・ビーが主催したセミナーで同法人の活動状況を説明した。このセミナーに参加したOESFの三浦雅孝代表理事は本誌の取材に対し,「Googleが発表したChrome OSは,Androidの組み込み利用と競合しない。Windows Mobileに対抗するのがAndroid,Windows 7に対抗するのがChrome OSで,我々はWindows Embeddedに対抗する存在となることを目指す」と説明した。

 OESF事務局でマーケティング企画を担当するアイ・エス・ビーの岩井一裕氏は「Chrome OSの発表は寝耳に水で,当初はOESFとの競合も心配した」という。しかし今はパソコン向けということですみ分けできると考えており,「セキュリティー面などChrome OS向けに提供される機能をAndroidに流用できる可能性もあり,OESFにはむしろ好都合かもしれない」(岩井氏)と現状を分析した。

 AndroidはGoogleが携帯電話機向けに無償で提供しているソフトウエア・プラットフォームで,国内ではNTTドコモが2009年7月10日にAndroid搭載の携帯電話機を発売した。無償で利用できることからSTBやVoIP端末などの家電機器向けのソフトウエア・プラットフォームとしても注目が集まっている。ただし,携帯電話機以外の機器にAndroidを利用する場合は,Androidが標準でサポートしていない各端末特有の機能について,利用事業者が独自に開発・拡張する必要がある。OESFはこうした独自開発が必要となる部分を会員企業間で共同開発し,標準化することで製品開発を促進することを目指している。Chrome OSはGoogleがパソコン向けとして2009年7月7日に発表したOSで,Webサービスとの親和性が高いのが特徴である。

■変更履歴
記事初出時にOESF開催のセミナーとしていましたが,正しくはウェルビーンとアイ・エス・ビー主催のセミナーです。お詫びして訂正します。本文は修正済みです。 [2007/7/30 18:00]