図1 テレビ通販番組の制作における事業者の関係の例(1)
図1 テレビ通販番組の制作における事業者の関係の例(1)
[画像のクリックで拡大表示]
図2 テレビ通販番組の制作における事業者の関係の例(2)
図2 テレビ通販番組の制作における事業者の関係の例(2)
[画像のクリックで拡大表示]

 公正取引委員会は2009年7月29日,「テレビ通販における表示チェック体制等に関する実態調査報告書」を公表した。この調査報告書では,テレビ通販番組の制作過程や表示チェック体制の現状などを取りまとめた。

 テレビ通販番組の制作に関係する事業者は,放送事業者や広告代理店,通販事業者,番組制作事業者,商品のメーカーなどであり,各事業者のテレビ通販番組の制作における関与の仕方はおおむね図1および図2の通りである。一般にテレビ通販番組の関係事業者の取り組みとして,テレビ通販番組で紹介する訴求ポイントについて他部門から完全に独立した組織が表示チェックを行う体制を整備したり,商品の効果や性能などの情報について取引先に合理的な根拠となる資料の提出を求めたりといったことを行っている。

 ところが過去の景品表示法に違反する事例では,表示チェックの体制やルールを構築していた事業者が相当数存在する。公取委は,「この原因は表示チェックの仕組みは存在していても,それが実際に機能していなかったことにある」とした。さらにテレビ通販番組の関係事業者からのヒアリングでは,「放送事業者の番組の視聴性を理由とした編集によって商品の性能に関する情報が十分に伝達されなかった例や,長年の取引関係にある事業者の取り扱う商品について考査過程の一部を省略している例,行政機関への問い合わせに対する回答など表示チェック上有用な情報が社内で共有されない例が認められた」(公取委)という。

 こうした現状を受けて公取委は,テレビ通販番組の関係事業者や業界団体が実施すべき取り組みを取りまとめた。関係事業者については,「表示チェックの体制やルールは,必要に応じて商品の取扱いやテレビ通販番組の制作に関与する部門や担当者の間でチェック業務を分担するなどの工夫をする」「通販事業者のほか,テレビ通販番組の制作にかかわる放送事業者や広告代理店も不当表示の未然防止に対する意識を高めるとともに,これらの事業者間における表示チェックに係る連携を密にして多角的な表示チェックを実施する」などの取り組みを実施すべきとした。

 テレビ通販番組の関係事業者の業界団体が実施することが望ましい取り組みとしては,「商品表示の基準やガイドラインについて必要に応じた見直しを不断に行う」「業界団体において相互の関係強化を図るとともに,消費者団体などの団体との関係を密にして,テレビ通販番組における表示の適正化を推進する」などを盛り込んだ。これ以外には,「テレビ通販番組における表示方法に関する消費者モニターの要望事項は,不当表示の未然防止のためのヒントを含んでいる」として,「消費者の要望をテレビ通販番組の制作や放送に適切に活用する」ことを提言した。

[発表資料へ]