写真●SaaS基盤共通機能の発表<br>画面奥からNTTコミュニケーションズの原隆一・理事・ビジネスネットワークサービス事業部長,NTTデータの神田文男・ビジネスソリューション事業本部長,NTT持ち株会社の端山聡・研究企画部門R&Dビジョン統括部長
写真●SaaS基盤共通機能の発表<br>画面奥からNTTコミュニケーションズの原隆一・理事・ビジネスネットワークサービス事業部長,NTTデータの神田文男・ビジネスソリューション事業本部長,NTT持ち株会社の端山聡・研究企画部門R&Dビジョン統括部長
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 NTTコミュニケーションズ(NTTコム)とNTTデータ,NTT持ち株会社の3社は2009年7月29日,SaaS事業者向けに認証や課金などのプラットフォーム機能を提供する「SaaS基盤共通機能群」を共同開発したと発表した。NTTコムとNTTデータはそれぞれのSaaSサービス用プラットフォームに今回開発した機能群を導入していく。これらの機能をSaaS事業者向けに提供することで,NTTコムとNTTデータはそれぞれ100億円程度の売上げを3年後に確保することを目指す。

 今回,3社が共同開発したSaaS用の共通機能は6つある。(1)認証基盤,(2)SaaSポータル,(3)料金回収代行,(4)マルチペイメント/クレジット決済,(5)ネットワーク・ゲートウエイ,(6)Webシステム構築基盤--である。3社がそれぞれ独自開発していた要素技術を融合させて開発したものだ。これらを両社のSaaS基盤共通の機能としたことで,開発コスト負担を軽減させただけでなく,NTT東西のNGN(次世代ネットワーク)サービスの回線認証機能を利用して認証を強化するといった,グループ連携強化を推進するベースともなる。

 SaaS事業者は必要に応じて,これらの機能を自社サービスに組み合わせて使うことができる。認証や課金といった信頼性が求められる機能を,SaaS事業者が自社開発せずに済むようになり,低コストで短期間にSaaSサービスを立ち上げられる。利用料金については,「最終決定ではないが,例として,基盤を利用するSaaS事業者に,1ユーザーIDにつき月額100~数百円の負担ですべての機能を利用できるようにする」(NTTコムの原隆一・理事・ビジネスネットワークサービス事業部長)といった考えを明らかにした(写真)。

 NTTコムとNTTデータは8月以降,それぞれが構築・運用しているSaaS基盤に今回の6機能を導入していく。

 NTTコムのSaaS基盤「BizCITY For SaaS Provider」では,まず認証プラットフォーム機能が9月から利用可能になる予定。ネットワーク・ゲートウエイや料金回収代行など一部提供済みの機能もある。現在,BizCITYではNTTコム自身が販売する「Salesforce over VPN」や,NECインフロンティアの外食産業向けPOS管理サービスなど9社のサービスが利用できる。今回の共通機能を追加したことで,「今後,20社程度を目標にSaaSパートナーを増やしたい」(NTTコムの原事業部長)とする。

 一方,NTTデータは,主に自社開発のSaaSサービス用として運用している基盤「VANADIS SaaS Platform」に10月をメドに共通機能を導入する。また,企業ユーザー自身が,社内利用を前提にSaaSシステムを構築するケースなどにも今回の共通機能をソリューションとして販売する計画だ。「売り上げの配分は,自社で販売するSaaSサービスが3分の2,企業向けソリューションを含めたプラットフォーム提供で3分の1を想定する」(NTTデータの神田文男・執行役員ソリューション&テクノロジーカンパニー・ビジネスソリューション事業本部長)としている。

 今後両社は,認証情報の共通化など,それぞれのSaaS基盤同士の連携を検討する。実現すれば,双方の基盤上で提供されるSaaSサービスを,ワンストップで利用することも可能になる。

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