Thomas Enebo氏
Thomas Enebo氏
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 JRubyの開発チームは2009年8月3日,米Sun Microsystemsから,Ruby on Rails関連ツールとサービスを提供する米Engine Yardへ移籍する。来日中の,JRubyチームの一人Thomas Enebo氏は「OracleのJRubyに対する態度は不明だが,Engine Yardからオファーがあった。移籍はJRubyによい影響をもたらす」と語った。

 移籍したのは,JRuby開発チームのコアメンバーであるThomas Enebo氏,Charles Nutter氏,Nick Sieger氏の3人。JRubyは,Java仮想マシン上でRubyプログラムを実行できるRuby実行環境。Java仮想マシン上で実行することで,JavaのライブラリをRubyで操作することができる。すでにSunのオープンソース・プロジェクトをホスティングするサイトkenai.comや,スウェーデンのオークション・サイトAuktionskompaniet.comなどで実際に使われている。

 Enebo氏とNutter氏,Sieger氏は個人の活動としてJRubyの開発を始め,2007年にSun Microsystemsの社員となり業務としてフルタイムでJRubyを開発していた。

 Engine Yardは,Ruby on Railsを米Amazonなどのクラウド・コンピューティング・サービス上で利用するためのツールやサービスを提供している企業。Ruby on Rails次期版のコアとなるフレームワークMerb開発チームの中核メンバーが在籍するなど,オープンソース・コミュニティと連携している。

 Enebo氏は現在,「RubyKaigi 2009」やRubyビジネス・コモンズのイベント「フクオカRuby Days」などに出席するために来日している。Enebo氏はITproの取材に対し「(Sunを買収する)OracleがJRubyを支援しようとするのか,それともそうでないのかは分からない。Oracleの態度は不明だが,Engine Yardから,フルタイムでJRubyの開発に携わることができるオファーがあった。Engine YardはRubyコミュニティに貢献している企業であり,我々がEngine Yardに移籍することはJRubyプロジェクトによい影響をもたらすと考えている」と語った。

■変更履歴
3段落目で「Sun Microsystemsの写真となり」としていましたが「Sun Microsystemsの社員となり」です。また1段落目での表記が「EngineYard」となっていましたが,正しくは「Engine Yard」です。お詫びして訂正します。本文は修正済みです。 [2009/07/29 09:35]