民主党は2009年7月27日,2009年の衆議院選挙に向けたマニフェスト(選挙公約)を発表した。ITに関する項目としてインターネット選挙活動を解禁することが盛り込まれた。
現在の公職選挙法では,選挙期間中にホームページの選挙に関する内容を更新することが禁止されている。これに対し,民主党が公表したマニフェストでは,選挙に関する項目の中で,企業献金や世襲の廃止とともに「誹謗中傷の抑制策,『なりすまし』への罰則などを講じつつ,インターネット選挙活動を解禁する」ことを公約として掲げている。
民主党が同日,ホームページで公開した政策集「政策INDEX2009」では,「政策本位の選挙・カネのかからない選挙の実現,候補者と有権者との対話促進などを目的として,インターネット選挙運動を解禁する」としており,「『インターネット選挙運動解禁法案』を成立させ,政党や候補者に加え,第三者もホームページ・ブログ・メールなどインターネットのあらゆる形態を使って選挙運動ができるようにします」と記述している。不正行為に対しては「(1)誹謗・中傷を抑制するためにホームページなどを使って選挙運動をする者の氏名・メールアドレスの表示を義務付ける,(2)「なりすまし」に対する罰則を設けるなどの対応策を講じる」としている。
そのほか,「政策INDEX2009」では同党のITに関連する政策方針として以下の項目を掲載している。
・通信・放送委員会(日本版FCC)の設置
通信・放送行政を総務省から切り離し,独立性の高い独立行政委員会(日本版FCC)を設置し,通信・放送行政を移す。これにより,国家権力を監視する役割を持つ放送局を国家権力が監督するという矛盾を解消するととともに,放送に対する国の恣意的な介入を排除する。
また,技術の進展を阻害しないよう通信・放送分野の規制部門を同じ独立行政委員会に移し,事前規制から事後規制への転換を図る。
・電波の有効利用
電波利用料に電波の経済的価値を反映させることによる電波の効率利用促進,適当と認められる範囲内でオークション制度を導入することも含めた周波数割り当て制度の抜本的見直しなどを行う。
・インターネットを用いたコンテンツの2次利用促進
過去に方法されたテレビ番組をインターネットで2次利用する場合には,すべての権利者から許諾を得なければならず,2次利用はなかなか進んでいない。インターネット上でのコンテンツの活用を図るため,著作権処理の円滑化に向けて抜本的な検討を進める。
・情報格差の解消
情報ネットワークの構築が遅れている地域に情報格差が生じないよう,条件不利地域などに対する整備支援策などを通して,必要な環境整備・支援を行う。
・通信・放送行政の改革
通信・放送の融合時代に対応した法制のあり方を検討する。表現の多様性を確保するためにクロスメディア所有(同一の者が新聞・テレビ・ラジオなど複数のメディアを所有すること)の是非も含めたマスメディア集中排除原則のあり方を検討する。
・NHKの改革
受信料のあり方や,受信料の徴収方法について検討する。子会社について設置基準を見直して整理を進める。NHKの各チャンネルの位置づけを再度明確にしたうえでBS放送波の削減を検討する。
◎関連リンク
◆民主党の政権政策Manifesto2009(民主党)
◆民主党政策集INDEX2009(民主党)