写真●KDDIの小野寺正 代表取締役社長兼会長
写真●KDDIの小野寺正 代表取締役社長兼会長
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 KDDIは2009年7月23日,2009年4~6月期(第1四半期)決算を発表した。連結の営業収益は前年同期比1.9%減の8537億円だったが,営業利益は同14%増の1418億円。小野寺正 代表取締役社長兼会長は「携帯電話の販売台数が減少し,サービス競争が一段と激しくなるなど,一部課題は残るがおおむね堅調」と総括する(写真)。

 携帯電話については,販売台数が前年同期比で23%減。4~5月の伸び悩みが響いたが,CDMA 1X端末のユーザーに対してCDMA 1X WIN端末へのアップグレードを推奨するなどの施策を実行した結果,「6月は前年同期比でプラスに転じた」(小野寺社長)。2008年後半で200万台以上となっていた端末在庫数は113万台に減少した。

 固定通信の営業収益は前年同期に比べ横ばい。営業損失は107億円で,前年同期から42億円の縮小となった。損失が縮小した理由として,FTTHサービスのユーザーが増えたことを挙げる。四半期ベースでは初めて10万契約を超えたという。販路の開拓により営業体制を効率化して,コミッション単価(販売奨励金)を2年前に比べて約4割削減できたことも,損益縮小につながったという。

 発表後の質疑応答では,NTT東西のNGN(次世代ネットワーク)に関するIPv6マルチプレフィックス問題について「NGNがクローズドな仕組みになっていることが問題。それが議論にならず,現在のNGNありきで議論するのは間違っている」と主張。他の事業者がNGNに接続する際の手段が限定されているとともに,NGNがIPv6を考慮していない仕組みになっていることを挙げて,「IPv4からIPv6への移行に対して,NGNは逆のインセンティブを与える。日本のIPv6対応は遅れる」(小野寺社長)と激しく非難した。

 今後の政権交代について,小野寺社長は「自民党でも民主党でも電気通信産業に対する政策に大きな差はないだろう」としながら,電気通信自由化から25周年を迎えるのを期に「今までの政策がどんな効果をもたらしたのか,何が問題なのかをチェックすることが大事」と述べた。