一般社団法人インターネットユーザー協会(MIAU)は2009年7月21日,衆議院選挙に向けて「MIAU総選挙プロジェクト2009」を開始すると発表した。情報通信政策題に関する質問を候補者に送付,回答をWebサイトで公開する。

 MIAUはインターネット・ユーザーの意見を集め政策提言を行うこと,インターネット・ユーザーの情報リテラシー向上のための運動も行うことを目的とした団体。

 インターネットに関する政策課題への候補者の回答をまとめることで,有権者が投票を行うための参考資料とするとともに,「これらの問題を次期衆院選における一つの『争点』とするべく,広く一般に議論を巻き起こしていく」ことが狙い。得られた回答は,政治情報交換サイト政論検索にも掲載する。

 また,選挙期間中に放映される政見放送を録画し,選挙後にYouTube上にアップロードする。これにより,選挙後に公約が守られたかどうか,有権者が容易に確認できるようにする。

 候補者に送付するアンケートの設問は以下の10問。

(1)インターネットを使った選挙期間中の選挙活動(ブログの更新,YouTube等動画サイトの利用)について,解禁していくべきだとお考えですか。

(2)米国では,オバマ大統領に代表されるように,政治家に対してインターネットを通じた小口献金が行われています。一方日本でも,インターネットを通じた小口献金システムが作られはじめました。これについてどのようにお考えですか。

(3)現在,国会へのパソコンなどの電子機器の持ち込みは,制限されるケースもあります。あなたご自身は,国会の本会議や委員会において,インターネット上の資料を参照しながら質疑するなど,パソコンや携帯電話などの電子機器を審議や情報発信のために用いることについて,どのようにお考えですか。

(4)国民の声をより政策に反映させるために,新しい施策を取り入れることについて,どうお考えですか。最も緊急に取り組むべきものをお選びください。

(5)今年6月から,対面販売ができないことを理由に,インターネットでの医薬品販売が原則禁止されました。これに対しインターネット事業者などは,「インターネットでの医薬品販売は対面販売より安全性が高く,利用者も必要としている」と主張,販売の継続を求めて提訴していますが,どのようにお考えですか。

(6)近年,国会や行政の場で,インターネット上の違法有害情報の流通を防ぐための施策が検討されています。この点について,教育によって情報リテラシー向上を図る,ネットサービスへの法規制強化による違法有害情報の発信の抑制,国家が違法有害情報の受信を阻止する技術の導入を行う,という3つの考え方がありますが,どの方法に軸をおいて対応すべきとお考えですか。

(7)小中学生の携帯電話の利用について,一律禁止すべきであるという意見の一方で,保護者からは子供たちへの通信手段の必要性を訴える声が出ています。この問題について,どう対応すべきとお考えですか。

(8)児童買春・児童ポルノ禁止法を改正して,児童ポルノの単純所持を処罰対象にすべきとする意見がありますが,一方で冤罪や憲法上の権利侵害の可能性も指摘されています。単純所持規制による児童の性的虐待抑止効果と,冤罪や権利侵害とのバランスは,どのようにあるべきとお考えですか。

(9)改正出会い系サイト規制法の施行をきっかけに,健全なコミュニティサイトに対しても18歳未満の異性交際を排除できない恐れがあるとして,警察から削除要請が出される等,ネットコミュニティの規制や取り締まりが強化されています。インターネット上でのコミュニティについて,積極的に規制した方が良いとお考えですか。

(10)知的財産政策(著作権法等)について,いわゆるダウンロード違法化の成立に見られるように権利者の保護を厚くするか,あるいは,利用者の利便性を高める方向にするかで,議論が行われています。今後,知的財産政策を進める上で権利者保護と利用者の利便性,どのようにしてバランスを取るべきとお考えですか。

 ただし,MIAUとして公式にアンケートを行い,政見放送をアップロードするのは衆議院小選挙区制選挙区東京ブロック(25区)の候補者のみ。これ以外の選挙区については,アンケートとアップロードを行うボランティアを募る。MIAUでは「より多くのインターネットユーザーにご賛同いただき,参画していただくことを期待しています」としている。

◎関連リンク
MIAU : インターネットユーザーからの10の質問