写真1●米GXSのボビー・パトリック シニアバイスプレジデント
写真1●米GXSのボビー・パトリック シニアバイスプレジデント
[画像のクリックで拡大表示]
写真2●GXS日本法人の田中良幸社長
写真2●GXS日本法人の田中良幸社長
[画像のクリックで拡大表示]

 企業間取引向けサービスを提供するGXSは2009年7月22日、新たな事業戦略を明らかにした。企業間のEC(電子商取引)やSCM(サプライチェーン管理)ネットワークを構築・運用するアウトソーシングサービス「GXS Managed Services」の拡充策として、企業のTCO(総所有コスト)を分析し、削減方法を提案するサービス「TCOアドバンテージ」を提供していく。

 米GXSシニアバイスプレジデント兼CMO(最高マーケティング責任者)のボビー・パトリック氏は「この経済状況のなか、コスト削減は世界中のCIO(最高情報責任者)が抱える課題だ。企業間取引のアウトソーシングにより、即座にコスト削減効果を得られる」と強調(写真1)。TCOアドバンテージで削減効果を明確にすれば、GXS Managed Servicesの普及を加速できるとみる。

 TCOアドバンテージは、企業間で情報をやり取りするBtoBシステムを自社で構築、運用する場合とアウトソーシングする場合のTCOを比較分析し、削減効果を見せるサービス。分析結果例として、電子機器メーカーではアウトソーシングの利用により1年で72%、7年で66%、同様に食品加工メーカーでは1年で16%、7年で33%のコスト削減効果を得られるとしている。

 コスト削減効果にはハードウエア、ソフトウエアなどのシステム費用、運用を担当する従業員の人件費や教育費などが含まれる。TCOアドバンテージではシステムの運用管理コストの初期の構成要素を、ハードウエアやソフトウエアの購入・インストール、インフラ費用、人件費、教育費などとする。さらに継続的に発生する費用として保守費用、インフラ費用、社内・取引先へのトレーニング、ヘルプデスクや災害時のディザスタリカバリのためのサポート体制整備の費用も構成要素としている。

 「削減効果の中でも最も大きいのは人件費、教育費の部分だ。これらの削減分は企業独自の戦略領域に投入できる。これまで運用に当たっていた従業員をこうした領域に再配置することにより、多くの効果を得られる」とパトリック氏は説明する。コスト削減効果は業界・業種を問わず、平均20~40%に上るという。TCOアドバンテージは、コストや投資利益率の分析モデル構築を行う米ホブソン・アンド・カンパニーと協業して開発した。

 GXS日本法人の田中良幸社長は、日本法人として「パートナーを強化し、特定領域での強みを発揮できるようにする」と説明した(写真2)。物流専門のアプリケーションベンダーとの協業により、配送途中における状況の可視化などを強化するという。