情報通信審議会 電気通信事業政策部会の接続政策委員会は2009年7月21日,第8回会合において電気通信事業紛争処理委員会の対象範囲を拡大し,電気通信事業者と非電気通信事業者間の紛争を解決できる制度を整備すべきだとする報告書案をまとめた。現在コンテンツ配信事業者など,電気通信回線設備を持たない事業者(非電気通信事業者)は紛争処理委員会の対象外になっているため,例えば回線を持つ携帯電話事業者と回線を持たない携帯向け音楽配信サービスを提供している企業で紛争が生じた場合に,紛争処理委員会ではあっせんや仲裁を行えないといった問題があった。

 固定通信市場においてはNGN(次世代ネットワーク)の発展,モバイル市場では第3.9世代移動体通信システム(3.9G)の発展が見込まれており,今後ますますネットワークが多機能・高機能になる。それに伴い,コンテンツ配信事業者はこうしたネットワークを利用する機会が増え,同時にコンテンツ配信事業者と回線を持つ電気通信事業者間の紛争が増えることが予想される。そこで今回,コンテンツ配信事業者といった非電気通信事業者も紛争処理委員会の対象に含めるべきだと結論づけた。紛争処理委員会の対象範囲は電気通信事業法で規定されているため,今回の報告書案の内容が固まり次第,総務省は法改正に乗り出すことを明らかにした。