写真●フォーラムの会長に選出された慶應義塾大学の青山友紀教授
写真●フォーラムの会長に選出された慶應義塾大学の青山友紀教授
[画像のクリックで拡大表示]

 産官学で構成する「グローバルクラウド基盤連携技術フォーラム(GICTF)」が2009年7月17日,設立総会を開催した。

 同フォーラムは,クラウド・コンピューティング技術を使って様々な事業者が運用しているSaaS(software as a service)やPaaS(platform as a service)などのネットワーク・サービス同士を連携させるために必要な標準技術の確立を目指す。総会では発起人である慶應義塾大学・デジタルメディア・コンテンツ統合研究機構の青山友紀教授(写真1)が会長に選出され,今後の活動計画などを策定した。

 クラウド・コンピューティング技術を使ったシステムでは,ユーザーが情報システムそのものを所有せずに,必要に応じてネットワーク経由で利用する形に使い方が変化する。だが現状では,そのための基盤技術の部分で各事業者が独自に作った仕様が乱立し,それぞれのシステムの信頼性やセキュリティ・レベルなども統一されていない。このため,電子政府や医療・金融サービスなど,高い信頼性を必要とする分野への応用が進まないという課題がある。

 こうした問題を解決するために同フォーラムは,クラウド間の連携を実現する標準インタフェースを定め,クラウド・システム間でのサービス連携や処理性能のバックアップなどを実現することを目指す。高い信頼性やセキュリティ強度を持つクラウド・サービスを実現可能とすることで,日本のITサービスの国際競争力強化も狙う。

 同フォーラムの幹事には,NTTをはじめ富士通,NEC,日立製作所,KDDIなどのクラウド・サービス事業者や,研究機関などから13名が就任した。総務省も同フォーラムのオブザーバーとして参加する予定だ。総会に先立ち,挨拶に立った総務省の桜井俊・総合通信基盤局長は,「クラウドが抱える信頼性や連携といった課題を解決すれば,グローバルな市場へ発展が可能になる」と期待を述べた。

 同フォーラムでは今後,技術動向の調査研究や標準アーキテクチャの策定などテーマごとに分科会を設置し,3~4カ月間隔で会合を行う予定。米国などでもクラウド・システム同士の連携を目指す動きは始まったばかりであり,今後はそれらの動きとの協調や,標準化機関への提案なども進めていくという。

[フォーラムのWebページへ]