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 オープンソースソフトを使ったシステム開発を手掛けるサイオステクノロジーは2009年7月16日、都内で開催されている「エンタープライズ・クラウドフォーラム」で、米グーグルの無料ソフト群「Google Apps」の導入時の課題について語った。サイオステクノロジーのクラウドインテグレーション部長 中田寿穂氏(写真)が登壇。Webアプリケーションの開発/実行環境「Google App Engine」を使った、同社のクラウド関連ビジネスの具体例についても説明した。

 中田氏はまず、クラウド関連サービスの導入失敗事例を披露。「メールサーバーを自社で運用していた企業がSaaS型のメールサービスに移行したケースでは、従業員が社外から簡単に社内システムにアクセスできるようになってしまった」と言う。この結果、「ホテルやネットカフェなどの共有パソコン経由で社内システムにアクセスする従業員が増え、従業員のパスワードが漏洩した」と続ける。

 この失敗事例はGoogle Appsを導入したものではなかったようだが、「Google Appsを使う場合でも、十分に起こり得る。Google Appsの活用を検討している企業は、セキュリティ対策に細心の注意を払うべきだ」と同氏は指摘する。

 グループウエアソフトからSaaS版グループウエアの利用に切り替えた企業の失敗事例もある。「利用開始後、SaaS版グループウエアと業務システムとの連携が上手くいかず、業務システムを利用できない利用者が続出した」と言う。

 最後は、サイオステクノロジーが手掛けた成功事例で締めた。Google App Engineを活用した、横浜YMCAのインターネット受付システムのケースである。「システム構築費用が8セントだった」(同氏)と、事実上無料でシステムを整備した点を強調。「ピーク時の処理性能を気にせず安価にシステムを導入できたことや、システムの拡張性が高まったことで、ユーザーも満足している」とアピールした。