写真 日本民間放送連盟の広瀬道貞会長
写真 日本民間放送連盟の広瀬道貞会長
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 日本民間放送連盟の会長である広瀬道貞氏(テレビ朝日顧問)は2009年7月16日の定例会見で,情報通信審議会の「通信・放送の総合的な法体系に関する検討委員会」の答申案について自らの意見を述べた。

 まず広瀬氏は, 通信・放送の総合的な法体系(融合法制)において放送事業者の表現と番組編集の自由を保障する項目を盛り込む必要性を主張した。「現行の放送法には放送事業者の表現の自由などについての項目があるが,答申案にはない。触れてないところは現状通りということかもしれないが,法制化の動向に注意して場合によっては我々の意見を言う必要があるかもしれない」とした。

 さらにケーブルテレビ(CATV)による地上波の区域外再送信について,「現行の大臣裁定を変えるべきだ」と述べた。ショッピング番組については,「生活情報番組として認知すべきではないか。編成の自由は我々にあるのだから,ショッピング番組を一つの番組として位置付けるべきだ」と持論を展開した。

 さらに広瀬氏は同日の会見で,会員社(201社)のうち半数以上である108社が2008年度通期決算で赤字になったと報告した。「108社は予想以上に多かった」(広瀬氏)という。会員社全体の売り上げを見ると,前年度に比べて4.9%減った。経常利益は同45%減となった。今後の見通しとしては,「スポット広告を見ると4月は前年同月に比べて14%のマイナス,5月は11%のマイナスと下げ幅が減ってきた」としたうえで,「今は景気が良くなる時期に備えて良い番組を作るときだ」とした。

 質疑応答で出た「すべてのアナログ・テレビがデジタル・テレビに置き換わらないと世帯視聴率が下がり,地上放送の広告媒体としての影響力が下がる。これについてどう考えるか」という質問に対しては,「2011年7月24日までにすべてのアナログ・テレビがデジタル・テレビに置き換わるというのは恐らく無理だろう。そうなると視聴率は悪くなるが,その状態が長期間続くとは思わない。デジタル・テレビは20型のものが数万円程度と買いやすい価格になってきており,視聴率は急速に回復するのではないか」との見方を示した。