総務省は2009年7月10日,放送コンテンツ分野におけるより透明で公正な制作取引の実現に向けて,「放送コンテンツの製作取引適正化に関するガイドライン(第2版)」を公表した。第1版に比べて,新たに四つの取引事例を追加した点が特徴である。

 具体的には,「放送番組に用いる楽曲に係る製作取引に関する課題」「アニメの製作発注に関する課題」「出資強制に関する課題」「契約形態と取引実態の相違に関する課題」の四つを取引事例として追加した。これにより, 第2版の取引事例は合計10項目となった。

 例えばアニメの製作発注についての取引事例では,アニメの製作委員会が制作したアニメ番組が放送事業者のチャンネルで放送される際に,製作委員会が放送事業者に条件の承諾を求められた事例を掲載した。放送事業者が製作委員会に,「DVD売り上げなどアニメ番組の二次利用収益の一部を一定期間,『局印税』として放送事業者に納付する。作品の二次利用許諾の窓口は放送局(または放送局の関連会社)とする」「アニメ番組の海外販売の際の二次利用収益の一部を一定期間,放送局に納付する。二次利用許諾の窓口は放送局(または放送局の関連会社)とする」といった要求をするという事例である。さらに製作委員会の幹事社(製作会社)が,局印税の率や二次利用許諾の窓口について異議を申し述べたところ,放送事業者から「それでは放送は困難である」との返答を受けたため,やむを得ず要求を承諾したというケースである。

 ガイドラインではこの事例について,放送事業者にはアニメの著作権が発生しないにもかかわらず,特段の交渉なく一方的に二次利用の収益配分や二次利用許諾の窓口等の取引条件を取り決めることは,「独占禁止法上,問題となりうる恐れがあると考えられる」とする指摘が盛り込まれた。

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