総務省は2009年7月10日,「携帯端末向けマルチメディア放送の実現に向けた制度整備に関する基本的方針(案)」を作成した。携帯端末向けマルチメディア放送は,2011年7月の地上テレビジョン放送の完全デジタル化に伴い利用可能となる周波数を用いて実現を図る新たな放送である。今回の基本的方針は,この放送の実用化に向けて,無線局の免許(開設計画の認定)や委託放送業務の認定などに係る制度整備に当たっての現時点での総務省の考え方を示したものである。この案について,2009年7月11日から8月10日までの間,意見募集を実施する。

 総務省は2007年8月から「携帯端末向けマルチメディア放送サービス等の在り方に関する懇談会」(座長:根岸哲 甲南大学法科大学院教授)を開催し,携帯端末向けマルチメディア放送について制度/技術課題に関する検討を行った。今回の基本的方針案は,「全国向け放送(VHF帯のハイバンドを使用)と地方ブロック向け放送(VHF帯のローバンドを利用)の実現を図る」「受託・委託放送制度を採用する」など,この時の懇談会の報告書の内容を踏襲する形になっている。

 今後は,2009年8月頃に「基本的方針」の確定・公表し,参入希望調査の概要の公表する。同年9月頃に,参入希望調査の開始し,同年10月頃に参入希望調査を締切る。2010年以降,制度整備を行った上で申請を受け付ける。なお,申請・審査については,先に開設計画の認定に係る手続を行い,その後に委託放送業務の認定に係る手続を行う予定としており,ハードを先行させる意向だ。

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