NTTデータは2009年7月9日,都道府県や政令指定都市向けの財務会計パッケージ「財務会計MASTER」を発売した。システム基盤にオープンソース・ソフトウエア(OSS)を活用。またNTTデータはパッケージのソースコードを開示する。これにより自治体が特定のベンダーに縛られることを防げるとしている。

 財務会計MASTERは,予算執行,歳入/歳出,歳計外現金,資金,決算などの機能を備えたパッケージ。公会計対応として総務省基準モデルに準拠している。総務省基準モデルに基づいた財務諸表4表(貸借対照表,行政コスト計算書,資金収支計算書,純資産変動計算書)を作成できる。

 NTTデータは,導入したユーザーおよびユーザーから業務委託された運用受託者に対してソースコードを無償で開示する。またユーザーおよびユーザーから委託を受けた第三者による改編,翻案も許諾する。これにより,ベンダー・ロックインを軽減でき,保守運用フェーズでの機能拡張や運用業務への他のベンダーの参入が容易になることで競争原理が働き,コストを削減できるとしている。

 OSにRed Hat Enterprise Linux,開発言語にJava,Webアプリケーション・サーバーにTomcat,DBMSにPostgreSQL,DBMSのクラスタリングにPostgresForest,全文検索エンジンにLudia,統合運用管理にHinemos,バックアップ管理にAmandaとOSSを採用した。PostgresForest,Ludia,HinemosはNTTデータが開発し,OSSとして公開している。

 財務会計MASTERは,愛知県が現在再構築している財務システムのベースとして採用されることが決定している。愛知県の新財務システムは2011年4月に稼働予定。NTTデータによれば,OSやWebアプリケーションサーバーだけでなくDBMSなどミドルウエアにまでOSSを採用した財務会計システムは,都道府県で愛知県が初めてという。