財務会計基準機構/企業会計基準委員会(ASBJ)や日本経済団体連合会(経団連)は、IFRS(国際会計基準)を強制適用する際の課題に取り組むための組織「IFRS対応会議」を設立した。ASBJや経団連のほか、東京証券取引所グループや日本公認会計士協会が参加、金融庁も同会議を支援している。7月3日に発足した。

 IFRS対応会議は、日本の会計基準としてIFRSを採用するうえでの課題を整理し、対応方針や戦略を検討する役割を担う。議長には財務会計基準機構理事長の萩原敏孝氏が就いた。「IASB対応検討」「教育・研修」「翻訳」「個別財務諸表開示検討」「広報」の五つの委員会を設置。各委員会が具体的な実務対応を検討・実施する。

 IASB対応検討委員会は、IASB(国際会計基準審議会)における会計基準作成の作業に関与するための方針を検討する。IASBでは世界各国の代表者が集まり、議論をしながらIFRSを作成している。IASBでの議論に、日本からの意見が適切に反映されることを目指す。

 教育・研修委員会は、公認会計士といった会計実務者の教育を推進する。翻訳委員会は、正確な日本語版IFRSを作成するための翻訳体制の確立を目指す。IFRSの原文は英語であることに加えて、国別の独自の解釈指針などを作成することができない。このため、金融庁の報告書では日本語版の翻訳が重要だと指摘していた。

 個別財務諸表開示検討委員会は、企業の個別財務諸表の開示の簡略化について検討する。個別企業の開示に重きを置く日本の会計基準に対して、IFRSは連結ベースでの開示に重きを置いているといった違いがある。加えて、会社法や税法は個別の財務諸表を基準にしているため、IFRSを採用した際の扱いを考える必要がある。広報委員会は、一般投資家や企業のマネジメント層に向けて、IFRSにかかわる広報活動を担う。