電通は2009年7月8日,ヤッパと提携して電子雑誌の有料配信事業「MAGASTORE」(マガストア)を今夏に開始すると発表した。第一弾として,アップルのiPhone向けにサービスを開始し,順次ほかの携帯電話事業者向けにもサービスを提供する。

 コンテンツは,現時点で20社以上の出版社から約30誌の雑誌を販売することが決定しており,2009年内に約30社から50誌以上の雑誌を販売できる見込みだという。MAGASTOREアプリケーションは115円で,取り扱っている雑誌のラインアップや目次までを確認できる無料版も配布する。コンテンツの販売価格は雑誌により異なるが,1誌115円から600円程度である。

 電通は新たにサービスを開始する狙いとして,近年「書籍」や「コミック」を中心に発達している国内の電子書籍市場で,「雑誌」についてはまだ市場が確立していないことを挙げる。電通は今回の事業を立ち上げるに当たって携帯機器向けにデジタル・コンテンツ配信の技術と実績を持つヤッパと提携し,新しいビューワーや電子雑誌コンテンツ販売のためのプラットフォーム開発を進めてきたという。

 今後の展開として,iPhone向けだけでなく,携帯電話事業者の公式サイトやパソコン,ゲーム端末など向けにもサービスを提供する。さらに,将来的には電子雑誌コンテンツに対する広告配信を行う予定もあるという。

 MAGASTOREは,利用者に対しては(1)電波が届いていればいつでもどこからでも雑誌を購入でき,端末にダウンロードした雑誌はいつでも読める,(2)タッチ・パネルを使った直感的な操作で利用でき,アプリケーションの「MyShelf」機能を使って何冊でも保存したり管理したりできる,(3)最新の雑誌だけでなく,過去の雑誌(バックナンバー)も購入できる――といった特徴を持つという。

 出版社に対しては,(1)「ビューワー開発」「データ変換」「データ配信」「決済」「収益管理」など,電子雑誌販売に関連する様々な機能をトータルで提供する,(2)「許諾コード方式」に基づいたコンテンツIDの管理を行うことで,コンテンツ権利管理の煩雑な作業を軽減させ,デジタルコンテンツの流通を活性化させる――といった点を特徴として挙げる。さらに広告主向けには,雑誌コンテンツの特性と,モバイル広告の技術を活用した新しい広告ソリューションを提供できるとしている。

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