ユーキャンの教育事業・営業本部ウェブマーケティング部次長の多田庸一氏
ユーキャンの教育事業・営業本部ウェブマーケティング部次長の多田庸一氏
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 2009年6月30日に開催した「NETMarketing Forum 2009」専門トラックAでは、通信講座のユーキャン(東京都新宿区)の教育事業・営業本部ウェブマーケティング部次長の多田庸一氏(写真)が「『興味』を『申し込み』に変えるユーキャンのアクセス解析活用戦略」と題して講演。アクセス解析を活用した自社サイト改善の手法などを披露した。

 同社ではコンバージョンまでのサイト上でのユーザーの行動を「来訪」「フォームへ遷移」「フォーム完了」の3つに分けて分析している。その上で、コンバージョンに近いところを優先して課題を解決しているという。そうすることで「中長期的には費用対効果が高まる」(多田氏)と判断している。コンバージョンに至らないサイト設計のまま集客しても、コストが無駄になるからだ。

 改善する上では、サイト上でのユーザー行動を予測し、そこから大きく離脱しているポイントを見つけることから始めるという。例えば、以前は複数の講座の資料請求をする場合、入力フォームの後のページで追加資料の選択ページに誘導していた。すると、多くのユーザーが選ぶのを途中で放棄していた。さらに、最初に申し込んだ資料の申し込みも完了せずに離脱してしまっていたという。そこで、同時に申し込まれることの多い講座、上位5つを洗い出し、その5つだけを入力フォーム後に表示するようにしたところ、「フォーム完了率が17%向上した」(多田氏)といった成果を明かした。

 また、ユーキャンではサイトの来訪者に独自でCookie(クッキー)を与えて長期的に分析している。それにより、どの施策が認知・向上に寄与したか、どういう経緯を経てコンバージョンに至ったかを詳細に調査している。

 具体的には、あるバナー広告をクリックしてサイトを訪れたユーザーが、申し込みには至らなかった場合にもサイト訪問データを蓄積する。数日後にそのユーザーが、ブックマークから再びサイトに訪れて申し込みに至った場合に、認知のきっかけとなったのはバナー広告だったと分析して、評価していると解説した。多田氏は「仮に申し込みに至ったのがあるバナー広告だった場合に、最終成果しか見ていないと、そのバナー広告しか評価できなくなる」と指摘。そうした場合に、そのバナー広告を過大評価して、予算を集中投下する危険性があると注意を促した。

 多田氏は「マーケティングの成果を上げるにはテストしかない」と言い切る。A/Bテストを実施する予算が無くても、サイト刷新であれば最低限、刷新前後での比較をするべきという。テストによる検証を繰り返すことで、成功につながるノウハウがたまると締めくくった。