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[IT Japan 2009]ゴムひものように伸び縮みする経営が重要---アクセンチュア程社長「IT Japan2009」2日目となる7月2日午後のセッションでは,アクセンチュア代表取締役社長の程近智氏が「景気好転時に備えたエラスティック経営とIT」というテーマで講演した(写真)。エラスティックとは,ゴムひものように伸び縮みするものやその様子のこと。程社長は手にしたゴムひもを伸縮させながら,「ぜひ自分の会社の経営などに当てはめてほしい」と訴えた。 エラスティック経営とは,「好況/不況に合わせて伸縮自在で柔軟な変化対応力を持ち,成長力と持続力を持つ経営」をするとともに「事業サイクルに合わせて規模のだけでなく,事業ポートフォリオ(事業の取捨選択)も柔軟に変化できるようにする」(程社長)ことを指す。 このような経営が求められる背景には,バリューチェーンの末端である小売の需要変化が上流の原料・部品製造へ加速度的に波及するようになったことや,中長期的な新興国の成長による世界経済の多極化の進展などがある。多極化した世界では,日米欧の3極に,インドや中国,ロシアなどの新しい極が加わって,ヒト・モノ・カネ・技術を相互供給・相互依存する。 このような世界では,世界各地の自然災害やテロによる個々の極レベルの小刻みな景気変動と,5〜10年ごとに起きる世界的なバブルの生成と崩壊が,折り重なって繰り返される。「景気変動のインパクトもこれまでより大きくなる」と程社長は語る。
戦略・プロセス・ITの軸で追求激しく変動する市場環境が当たり前になる時代では,「戦略」「プロセス」「IT」の三つの次元で,エラスティック経営の実現の検討を追求する必要がある。自社の戦略をプロセスの次元で仕組み化・具現化し,そのプロセスをITの次元で効率化・自動化する。逆にITによって効率化したプロセスをもとに,戦略の自由度を高める。エラスティック経営では,この三つの次元で「縮むときには,しっかり縮み,伸びるときにはどこをテコにするか考える」(程社長)ことが求められる。 例えば「縮む」段階では,戦略として成長市場への種まきや財務の堅牢さと弾力性,プロセス改革,自社のアキレス腱の強化が重要になる。プロセスでは,何が自社の最小限の要素になるかを追求するといったミニマムプロセスの見極めが求められる。またITの次元では,コスト効率化などを実施する。 「伸びる」段階では,戦略として積極投資と収穫などが重要になる。プロセスでは,自社の内部にあるモーメント(能率)を実際の成長につなげるレバレッジ(テコ)を追求する。ITでは,競争力の源泉への集中を行うなどが重要だ。 程社長は,ITの次元での手段として,今注目を集めているクラウドコンピューティングやSaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)に言及した。これらは新たなITの地殻変動に備えるという観点から,多くの企業がパイロット導入を実施しているとする。 ただしクラウドやSaaSは,初期コストを抑えられる,スケーラブルな拡張が可能などとされながら,大企業向けには高コストではないか,データを外に出しても大丈夫なのかというユーザーの不安があるのは確かだ。程社長は「ITでは5〜10年で大きな技術革新が起こる。クラウドとSaaSもその一つと考えて,備えが必要」と話す。 同氏はITのトレンドを住宅にたとえた。昔は棟梁の建てた注文住宅ばかりだったが,やがてERP(統合基幹業務システム)などで建売り住宅が出てくるようになった。今はSOA(サービス指向アーキテクチャ)などによるリフォーム住宅の時代だとする。 さらには,クラウドとSaaSの普及によって,今後は自由な住み替えの時代が来ると予想する。システムは「必ずしも作らなくてよい,必ずしも持たなくてもよい」(同)ようになる。 こうしたITの大きな技術革新に合わせて,IT部門の役割も変わっていくという。リフォーム住宅の時代では,ITは業務プロセスを整理・管理する役割が中心になる。住み替えの時代になると,IT部門はシステムのプロデュースが主な仕事になるとした。「役割の変化は一挙に起こるわけではない。だがよく考えないと,部員の多寡やスキルのアンマッチが生まれる」と程社長は語った。 最新ニュース記事一覧へ >> |