中国政府はパソコンへのフィルタリング・ソフト導入を義務化する計画を延期した。これを受けて米家電業界団体Consumer Electronics Association(CEA)をはじめとする業界団体がコメントを発表している。CEA会長兼CEOのGary Shapiro氏は米国時間2009年7月1日の声明で「中国政府の決定に満足している」とし,米政府の働きかけに対して感謝の意を示した。

 しかし同氏は,今回の決定が延期であって撤回ではないことに,引き続き懸念が残ると指摘。すべての関係者に対して,子供を不適切なコンテンツから保護するより良い手段を早急に検討するよう呼びかけた。

 また,日米欧の大手コンピュータ企業/通信会社で組織する業界団体Computer&Communications Industry Association(CCIA)は6月30日に発表したコメントの中で,米政府の介入が大きく貢献したと評価した。

 中国政府は,7月1日以降に国内で出荷されるパソコンに,中国ベンダーのJinhui Computer System Engineeringが開発した「Green Dam」ソフトをプリインストールすることを義務づける方針だった。ポルノ・コンテンツの遮断が目的だとしているが,特定のWebサイトへのアクセス防止を中国政府がコントロールする可能性があるとして,各方面から非難の声が挙がっていた。

 米国情報技術工業協議会(ITI)をはじめとする業界団体が,中国政府に方針の見直しを迫る声明を6月9日に発表し(関連記事:米業界団体が中国政府に反発,PCのフィルタリング・ソフト導入義務づけで),その後,米連邦政府が中国政府に正式に異議を伝えていた(関連記事:中国のフィルタリング・ソフト導入義務づけ,米政府が正式に懸念を表明)。

[発表資料(CEAのプレス・リリース)] [発表資料(CCIAのプレス・リリース)]