写真1●ECナビの宇佐美進典代表取締役CEO(左)
写真1●ECナビの宇佐美進典代表取締役CEO(左)
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写真2●ECナビで販売する端末
写真2●ECナビで販売する端末
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 価格比較サイトなどを運営するECナビは2009年7月2日,KDDIの端末を使った携帯電話事業を8月3日から開始すると発表した(写真1)。携帯電話のユーザーには,利用料金に応じて価格比較サイト「ECナビ」のポイントを配布する。端末はKDDIと回線の卸契約を結び,MVNO(仮想移動体通信事業者)として提供する。通信の管理や運営は,MVNE(mobile virtual network enabler)業務を手がけるインフォニックスに委託する。

 通信の料金プランについては,KDDIのau携帯電話と同じ。端末はシャープ製のソーラー充電対応モデルなど,KDDIの2009年春および夏モデルから3機種を用意した(写真2)。「ポイントの特典を強化する」(ECナビの宇佐美進典代表取締役CEO)ことで,ECナビの既存の利用者に訴求する。月額の利用料金が2000~2999円の場合は3%分,料金の3000円以上であれば6%(8月31日までに申し込めば10%)分のポイントを配布する。貯めたポイントは,航空会社のマイル,電子マネー,現金などに交換できる。

 端末には独自のアプリを添付し,各種の情報を提供する,将来的にはアプリ上で「小説やコミックなどのデジタルコンテンツの販売を開始する」ことも視野に入れている。2012年までに10万台のユーザー獲得を目標とする。

 これまでもデータ通信カードのMVNOは数多く存在していたが,音声通話付きの端末をMVNOで本格運用するのは「KDDIだけでなく,(国内の)通信事業者としても初の取り組み」(KDDIのコンシューマ商品統括本部 新居眞呉 事業開発部長)という。機能が限定されたデータ通信カードと比べて,音声端末では「アプリ実行環境,おサイフケータイといった各種機能を利用した発展的なビジネス展開が可能」(インフォニックスの藤田聡敏常務取締役)となる。

 携帯電話事業者はこれまで,端末の販売からアプリ提供までを手がける垂直統合型モデルを貫いてきた。だが,携帯電話の普及が一巡した現状では,新規ユーザーの開拓が大きな課題となっている。その一方で,Webサイトなどの事業者は月額通信料のような収益源の確保を目指している。両者の狙いが一致するMVNO事業参入の動きは今後拡大していきそうだ。