2009年6月末までに,J-SOX(日本版SOX法)対象企業の大半を占める2009年3月期決算企業が内部統制報告書を提出。J-SOX初年度の結果が出そろった。「重要な欠陥」を公表したのは合計55社。提出企業2672社の2%だった。

 先週(6月26日)までに「重要な欠陥」を公表したのは30社(関連記事1関連記事2関連記事3関連記事4)。今週に入り,6月29日に19社,6月30日に6社が公表した。

 6月29日に公表したのは,以下の企業。インスパイアー,ウィルソン・ラーニング ワールドワイド,エーアンドエーマテリアル,オープンインタフェース,加藤製作所,幻冬舎,ジェイオーグループホールディングス,東邦グローバルアソシエイツ,戸田工業,トラベラー,西松建設,日本アンテナ,バーテックス リンク,光ハイツ・ヴェラス,平賀,ブックオフコーポレーション,御園座,ユニバーサルソリューションシステムズ。

 6月30日に公表したのは,21LADY,オメガプロジェクト・ホールディングス,シャルレ,大水,ビジネス・ワンホールディングス,ホッコク,リバーエレテック。

 重要な欠陥を公表した理由は,経営陣や社員の不正,経理担当者の知識不足や人員不足による経理ミス,コーポレートガバナンスの欠如などさまざま。J-SOXへの対応が完了しなかったことを理由に挙げた企業も多い。

 IT関連を理由に挙げた企業はごく少数だった。日本アンテナは決算・財務報告プロセスなど一連の業務プロセスで,「整備状況に関する記録が欠けており,事業年度の末日までに是正されなかった」理由として,「期中での『全社統合情報システム』の導入を計画していたが,システム移行を延期せざるを得ないこととなり,現行システム下でのリスクの評価を実施することとなったが,時間的制約から,上記一連のプロセスの整備状況に関する記録の整備をすることができなかった」点を挙げる。

 米SOX法と単純な比較はできないものの,J-SOX初年度に重要な欠陥を報告した日本企業の割合は,米国に比べ非常に低いとの印象が強い。「この程度でいいのかという意識が企業に生まれてしまい,制度が目指す方向に機能しない恐れもある」と,ある関係者は警鐘を鳴らす。

 今後,金融庁企業会計審議会内部統制部会を中心に,J-SOX初年度の結果を評価し,2年度以降に向けて必要があれば是正措置をとるとみられる。

■変更履歴
本文3段落目からフタバ産業を削除し,本文4段落目にシャルレを追加しました。フタバ産業は6月29日に公表した内部統制報告書で「財務報告に係る内部統制の不備は,財務報告に重要な影響を及ぼす可能性が高く,重要な欠陥に該当すると判断した」としながら,「平成21年3月31日現在の財務報告に係る内部統制の全ての重要な欠陥を特定するには至らず,最終的な評価結果を表明することができない」としており,今回の報告書では重要な欠陥を開示していません。以上,お詫びして訂正します。本文は修正済みです。
 なお,一部報道ではデジタルアドベンチャーを含めて56社としていますが,同社は内部統制報告書で「当社の財務報告に係る内部統制には以下の通り不備があり,有効でないと判断しました」としています。本記事は「内部統制報告書で重要な欠陥を公表した企業」という定義で55社としています。 [2009/7/3 11:15]