日立ソフトウェアエンジニアリングは2009年7月1日、サーバー仮想化環境に必要なハード・ソフト一式をレンタル提供するサービスを発表した。サーバー、ストレージ、ネットワーク機器、管理コンソールを一つのラックに搭載し、ラックごと利用企業のデータセンターに貸し出す。自社設備のような使い勝手でありながら、ホスティングサービスのような月額費用で利用できる。

 「Secure Online 出前クラウドサービス」の名称で9月1日からサービスを開始する。仮想化にはヴイエムウェアのソフトを採用し、ハードウエアには日立グループの製品を利用する。

 リースとの違いは料金体系の柔軟さにある。新サービスでは仮想マシン(VM)の稼働数に応じた従量課金を選択でき、利用規模に応じた最小限の料金で済む。具体的には、最大稼働VM数に応じた基本料金と、標準的な構成の仮想マシンで一つ当たり月額4万円の合計になる。基本料金は25万円(最大15VM)、50万円(最大24VM)、100万円(最大60VM)の3種類がある。

 こうした低コスト化を実現できた理由を「日立ソフトが展開するクラウドサービスと同じ構成にしたから。利用企業から返品されても自社サービスで使えばいいので、思い切った値付けが可能になった」(中村輝雄セキュリティサービス本部長)と説明する。こうしたサービスの形態を「雲(クラウド)の一部をちぎってお客さんのところへ持って行く」と例えた。

SaaS上のデータを自社DBにコピーするサービスも紹介

 このほか、クラウドへの取り組みの一環として、現在準備中の「SaaSゲートウェイサービス」も紹介した。このサービスは、SaaS上のデータを利用企業が自社保有するデータベースにコピーするというもの。SaaSの営業支援アプリケーションに入力した情報を、自社システムと容易に連携できるようになる。早ければ9月にもサービスを開始する。

 通常、データ連携には自社システム側からSaaSが用意する情報取得APIを叩くか、SaaS側から利用企業のシステムにアクセスして情報を送る必要がある。前者では利用企業ごとにシステムの作り込みが生じてコストがかかる。後者ではファイアウオールのポートを空ける必要があってセキュリティ上の問題がある。そこで、日立ソフトがSaaS上のデータを利用企業の社内にコピーするサービスを用意。低コストかつ高いセキュリティでデータ連携が可能になるという。