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[ITproカンファレンス:パンデミック]BCP作成のポイントは「縮退認定」「権限委譲」「対策の日常化」「WHO(世界保健機関)は一企業の事業存続まで考慮してくれない。各企業は,独自の基準でBCPを作成し,その計画を自己の判断で開始できるように備える必要がある」――。2009年6月29日,ITproビジネス・カンファレンス「事業継続のためのパンデミック対策」に登壇したスタンダード&プアーズ ヴァイス・プレジデント 情報企画部門 アジア・太平洋地域統括の佐柳恭威氏が,パンデミック対策におけるBCP(事業継続計画)作成のポイントを解説した。 講演の冒頭で佐柳氏は,過去に自分一人でBCPを作成した際の失敗談を披露。「業務分野を問わず一人で計画を作ったために,自分自身が計画のボトルネックになってしまった」(佐柳氏)という。この反省から,パンデミック対策のBCPでは「SPOF(Single Point of Failure)が起きないように設計することが重要」と佐柳氏は考える。「時間はかかっても,総務なら総務部門,経理なら経理部門の現場の担当者が,実務に即した計画を作るべきだ」(佐柳氏)。 佐柳氏が,パンデミック対策のためのBCP作成において重要項目に位置づけるのは,「縮退認定」「権限委譲」「対策の日常化」の3つである。 「縮退」とは,「会社継続のために,ある業務の継続を諦めること」(佐柳氏)。縮退のために,業務の順位付けをすることを「縮退認定」という。佐柳氏は,この縮退認定が,BCP作成の最大のハードルだと考える。なぜなら,「自分の業務が会社に必要ないと言う部門長はいない」(同)からだ。 これまでのBCPでは,各部門が自分の業務を手離さなかったため,縮退ではなく,全事業を小規模に継続する「縮小」に陥っていた。「会社存続のために自分の部門の縮退が必要ということを部門長に納得させることは,実際には非常に難しい作業だ」(佐柳氏)。 「事業を再開することを前提に,一旦停止することが縮退。事業を再開するためには,当然ながら企業自体が存続している必要がある」(同)。このため,「縮退認定のためには,各部門長や経営層が,企業存続という目的を共有することがポイント」と,佐柳氏は指摘する。 次に,佐柳氏は「権限委譲」に言及。パンデミック対策のBCPでは,企業の中央(上層部)の人間が倒れることを想定して,中央主権から現場主権へ移行するシナリオを用意しておく必要がある,とした。 しかし,佐柳氏は「権限委譲は簡単ではない。特に日本企業は,権限を与えることも,与えられることにも慣れていない」と指摘。パンデミック下の権限委譲のリハーサルとして,「夏季休暇中に,部下に権限を委譲する練習をしてはどうか」と提案した。 権限委譲のためには「事前に司令者の代行者順位を決めておく必要がある」(佐柳氏)。ただし,「部長の代行者に適任なのは,必ずしも“次期部長候補”ではない」と言う。代行者の唯一の条件は,「有事に仕事ができること」。年齢も役職も関係ない。「そういう人物を選出できるかどうかに,企業の存続がかかっているといっても過言ではない」(佐柳氏)。 三番目の重要項目「対策の日常化」とは,遠隔勤務のためのインフラを平常業務でも使用することである。例えば,在宅勤務を可能にするVPNやテレビ会議システムなどの活用は,平常業務の効率化にもつながる。「BCPのためだけの投資では,ROI(Return On Investment)が測れない。パンデミック対策のための投資は,平常業務で効果が得られる形で行うのが最適」と,佐柳氏は語った。 最新ニュース記事一覧へ >> |