写真1●モジラジャパンの瀧田佐登子代表理事
写真1●モジラジャパンの瀧田佐登子代表理事
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写真2●動画に対して様々な効果がリアルタイムに描画される
写真2●動画に対して様々な効果がリアルタイムに描画される
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 モジラジャパンは2009年6月29日、Webブラウザの新バージョン「Firefox 3.5」の日本語版ダウンロード提供を7月1日に開始すると発表した(写真1)。Firefox 3.5は「HTML 5」の一部機能を標準化に先立って実装しており、プラグイン無しで動画を再生したり、ビットマップ画像を動的に描画したりできる。

 Firefox 3.5は、HTML 5の新しいタグである「Video」「Audio」「Canvas」などに対応する。Video/Audioタグを使用すると、「Flash」や「Silverlight」のようなプラグインを使用せずに、Webブラウザだけで動画や音声の再生が可能になる。Firefox 3.5が対応する音声・動画形式は、オープン規格の「Ogg Theora」(動画)、「Ogg Vorbis」(音声)だけで、「YouTube」などが使用するH.264などが再生できるわけではない。モジラジャパンでは「ライセンス料を払う必要がないOgg Theora形式だが、低ビットレート時はH.263コーデックより高画質で、高ビットレート時はH.264に匹敵する画質が実現できる」と、Webサイトに対してOgg Theora形式のサポートを呼びかけた。

 Canvasタグは、あらかじめ作成した画像ファイルを表示するのではなく、ブラウザ自身がビットマップ画像を描画する機能である。従来バージョンのFirefox 3から一部Canvasタグに対応していたが、Firefox 3.5で表現力をさらに向上させた。VideoタグとCanvasタグとを組み合わせることで、写真2のようなWebブラウザだけで動画に様々な効果を適用するWebアプリケーションを実現できる。

 このほかFirefox 3.5は、Webアプリケーションをオフライン時に使用するためのデータ保存領域を提供する「Web Storage API」や、JavaScriptをバックグラウンドで実行するための「Web Workers」といったHTML 5に関連する規格にも対応する。

 JavaScriptをJIT(ジャスト・イン・タイム)コンパイルすることで高速実行する「TraceMonkey」という新しいJavaScriptエンジンも新規に搭載する。TraceMonkeyを搭載することによって、JavaScriptの動作速度は前バージョンのFirefox 3に比べて2.4倍に、それよりも前のFirefox 2に比べて13倍に高速化するという。