北海道の夕張市は2009年6月29日、Linux OSとOpenOffice.org(オープンオフィス)をインストールしたパソコンを導入したことを明らかにした。4月にパソコン26台の導入を完了し、選挙管理委員会事務局での利用を予定している。

 夕張市は2007年3月に財政再建団体へ転落し、システムへの投資がほとんどできない状況にある。「パソコンの更改もできずにいた」(夕張市総務課情報管理担当)という。とはいえ庁内でパソコンの需要は尽きない。今夏とも言われる総選挙が始まると「臨時スタッフが増加してパソコンが必要になる」(夕張市選挙管理委員会事務局)。選管事務局は平時は3人の部署だが、ピーク時には10人を超える。加えて、契約業務や統計作業、資料作成などパソコンを必須とする業務が増大する。

 そうしたなか、道内の民間企業から償却済みパソコン26台を無償提供するという申し出があった。北海道の第3セクターであるHARPが導入を支援。検討の結果、OSにはLinuxディストリビューションの一つであるUbuntuを、オフィスソフトにはオープンオフィスを採用することを決めた。「パソコンは民間企業から,ハードディスクのOSやデータをすべて消去された状態で譲渡されたため、無償で利用できるUbuntuとオープンオフィスをインストールして再利用した」(HARP)という。

 パソコンは償却済みということもあり、「CPUはPentium IIIで動作周波数700~800MHz、メインメモリーは512Mバイト」(HARP)と7~8年前のスペックだった。しかし「オープンオフィス単独を利用する程度ならば、動作に大きな支障が出ることはない」(同)という。

 ただし、現時点では夕張市はパソコン26台すべてを使い切れていない。6台を選管事務局用に割り当て、残りの用途は検討中とする。「統計作業など臨時業務向けの利用を主に考えている」(夕張市総務課情報管理担当)。庁内の一般業務への採用は「庁内サポートの人員を十分に割けないため難しい」(同)との結論になったという。

 夕張市に対しては、アシストがオープンオフィスに関する問い合わせサポートとeラーニングを提供する。アシストでは、サポートとeラーニングをそれぞれ250ユーザーで28万7500円で販売しているが、夕張市には財政再建団体であるなどの状況を考慮し、無償で提供している。