図1●iPhone 3GSと同3Gの主なアプリケーションの起動速度 グラフが短い方が高速。
図1●iPhone 3GSと同3Gの主なアプリケーションの起動速度 グラフが短い方が高速。
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図2●iPhone 3GSと同3GのSafariブラウザによるITproトップページのレンダリング時間 グラフが短い方が高速。
図2●iPhone 3GSと同3GのSafariブラウザによるITproトップページのレンダリング時間 グラフが短い方が高速。
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 iPhone 3G比で平均2倍の高速化をうたう米Apple製スマートフォン「iPhone 3GS」が,2009年6月26日にソフトバンクモバイルから国内デビューした。PDAとしての価値は「使いたいときにすぐ機能を呼び出せるか」にかかっている。そこで主要な標準アプリを中心に,iPhone 3GSで閲覧/入力可能になるまでの待ち時間を測定。PDAとしての使いやすさを調べたところ,総じて1.5倍以上の高速性を実現していることが確認できた。

 測定の対象としたのは,「メール」「SMS/MMS」「カレンダー」「写真」「カメラ」「マップ」「ボイスメモ」「メモ」「アプリケーション(ITproアプリを使用)」「Safari」の10アプリケーション。各アプリケーションのアイコンをクリックしてから起動が終了するまでの時間を,「マップ」なら地図データの展開が終わるまで,「ボイスメモ」なら録音可能な状態になるまで,といった具合に測定した。目視では精度に問題があるため,カシオ計算機製の高速度カメラを使い,ストップ・ウォッチと測定対象機を同時に撮影して起動時間を割り出した。ただし,ネットワーク性能についてはSafari以外では対象外とし,「メール」のようにネットワーク接続が生じるアプリはいったんダウンロードしてから測定した。なお「メモ」は一度メモを新規作成してからいったんアプリを閉じ,再度起動してからソフトウエア・キーボードの表示が終わるまでの時間を計測している。

 ベンチマークの結果を見てみると,iPhone 3GSはiPhone 3G(iPhone OS 3.0にバージョンアップ済み)に比べ総じて1.5倍ほど高速にアプリが起動する(図1)。測定した10アプリのうち,3GSは6アプリが0.6~1.9秒の2秒未満で起動を終えた。比較用に測定した3Gで起動が2秒を切ったのはメールと写真だけ。アイコンをタッチした後の待ち時間が2秒を超えると途端に待たされている印象が強くなるため,この高速化の効果は感覚的に大きいと言えるだろう。

 例外は3GSで動画対応と多画素化を果たした「カメラ」アプリケーション。3Gが2.8秒だったのに対して,3GSが2.5秒と,測定値は僅差で肩を並べている。ただユーザーの体感的な待ち時間を減らす「絞りが開く」視覚効果が功を奏しているのか,3GS内の他アプリと比べて特にもたつく感じはない。

 特に大きな差が開いたのは,ネットワークからのダウンロード速度がものをいうWebブラウザ「Safari」のテストである(図2)。IEEE 802.11g無線LAN接続環境下でITproトップページのレンダリングが終わるまでの時間は,3GSの7.6秒に対し3Gは20.2秒と約3倍の開きが出た。ただし,ダウンロード時間が相対的に大きくなる3G/HSDPA接続では3GSが23.1秒,3Gが36.1秒と,総合的な差は1.5倍程度に縮まる。