米Googleの書籍検索サービス「Google Book Search」に関する訴訟の和解をめぐり,孤児作品(orphan books)と呼ぶ絶版本の扱いについて批判が高まっている中,米作家協会(Authors Guild)会長を務めるRoy Blount Jr氏は米国時間2009年6月24日,協会メンバーにあてた公開書簡を発表した。同氏は,「この和解は,孤児作品の問題を引き起こすのではなく,解決策をもたらす」として,和解内容に賛成の立場を示している。

 孤児作品とは,絶版となった書籍で著作権保持者が不明の作品のこと。和解条件では,Googleが著作権保持者を特定しないままこれら作品を読者に提供することを認めている。このため,同社が孤児作品における独占的地位を築くとの批判の声が上がっている。

 同氏は,「私は著作権のある書籍をスキャンするGoogleの書籍検索サービスについて反対する立場だった。その訴訟は和解に至った。しかし,孤児作品に関する和解条件に異議を唱える理由は見つからない」と述べた。

 孤児作品は,従来の印刷物として販売し続けることができないと判断されたもので,現在誰も独占権を持っていない。なぜなら,市場で取り引きされていないからだ。つまりGoogleは,販売されていない物の市場独占について非難されている状態だ。しかも孤児作品は市場全体から見ればごくわずかだ,と同氏は説明する。

 孤児作品などの絶版書籍は,このまま忘れ去られてしまう存在だが,和解によって,オンラインで市場に出回ることになる。同氏は,和解内容のほんの一部である孤児作品に関して独占を防止しようとすれば,著作権保持者,出版社,読者が受けるはずの幅広い恩恵が失われてしまうと指摘している。

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